日本電気は,1987年7月,ACOSシステム410の後継機としてコンパクトな小型汎用機ACOSシステム3300(以下S3300と表示)を発売した.S3300は,演算プロセッサ(EPU)に3万ゲート/チップのCMOSフルカスタムLSIを,またI/Oプロセッサ,周辺制御プロセッサについてもCMOS VLSIを採用するなど全面的にCMOSを採用し,さらに主記憶装置は1メガビットDRAMチップのサーフェス・マウント両面実装SIM(Single Inline Module)による3次元実装の採用により小型化を実現した.
中型機では,1988年7月に,ACOSシステム430の後継機としてACOSシステム3400(以下S3400と表示)を発売した.S3400は,5万ゲート/チップでゲート当たりの遅延時間が0.7ナノ秒という高速・超高集積度のCMOSカスタムVLSI,2万4千ゲート/チップでゲート当たりの遅延時間が1ナノ秒という高速・高集積度のCMOSゲートアレイなど最新のVLSI技術や,VLSIの表面実装,メモリの3次元実装などの高密度実装技術の採用により,CPU筐体(CPUと周辺処理装置内蔵)は設置面積が0.68m2,高さ1.3メートルとコンパクト化され,価格性能比を向上した中型汎用コンピュータである.
大型機では,1990年2月,ACOSシステム610,630の後継機として,コンパクトで高性能なACOSシステム3600(以下S3600と表示)を発売した.S3600は,高速・低消費電力という特性を有するBiCMOS論理素子ならびに高集積,低消費電力という特性を有するCMOS論理素子を汎用大型機の演算処理装置としてはいずれも初めて採用したこと,4メガビットDRAMを汎用コンピュータの主記憶装置としては初めて搭載したことなどにより,中央処理装置の設置面積をS610,S630比で約半分に小型化,消費電力を約3分の1に削減し,かつ演算処理速度を2.3〜3倍に向上させている.
入出力処理装置の総合転送速度を最大で400メガバイト/秒に向上し,システム全体のスループットを向上させている.
また,複数のホストコンピュータが,オンライン処理を行いながらそれぞれの待機系システムとなって故障時のバックアップ処理を行う「相互スタンバイ方式」の採用などにより高信頼のシステムを実現している.
S3300 | S3400 | S3600 | |
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発表時期 | 1987年7月 | 1988年7月 | 1990年2月 |
OS | ACOS-2 | ACOS-4 | |
演算処理装置台数 | 最大2 | 最大2 | 最大4 |
主記憶容量 | 最大60MB | 最大96MB | 最大384MB |
キャッシュメモリ | 8KB×2 | 128KB×2 | - |
命令キャッシュ | - | - | 16KB×4 |
オペランドキャッシュ | - | - | 64KB×3 |
チャンネル本数 | 最大26本 | 最大32本 | 最大96本 |
総合データ転送能力 | 21MB/秒 | 最大80MB/秒 | 最大400MB/秒 |
CPU素子 | CMOS | ||
メモリ素子 | 1MビットDRAM | 4MビットDRAM |