【日本電気】 ACOS-2/EF

日本電気は1983年4月にACOS-2/EFを発表し,10月に出荷開始した.
素子にCMOSゲートアレイ,中央処理装置にパイプライン制御,4ウェイプロセッサの技術を採用しているACOSシステム410のオペレーティングシステムとして動作する.コンピュータ処理の対象業務が,従来のデータ処理(DP処理)にとどまらず,オフィス業務まで拡大してくることを踏まえ,DP処理とOA処理が融合した利用スタイルを可能としている.

主な機能の特長は以下の通りである.

(1)多重処理を可能とする動的主記憶管理機能
利用者が主記憶装置を効果的に利用できるように主記憶装置の論理階層構造を提供している.利用者側からは主記憶装置が何層にもあるように見え,MCS(Message Control System)プロセスの層で空き領域がなくとも,バッチプロセスが動作する階層で空き領域があればプログラムを起動させることができる.また,主記憶装置の使用権は優先度をもって管理されており,プログラムは,その動作特性(オンラインあるいはバッチ等)と動作状態(受信待ち,IO待ち・等々)に応じて制御され,システム全体で効果的な割り当て制御が行われる.本オペレーティングシステムでは最大250個の多重処理を可能としている.
(2)エンドユーザの利用や容易なシステム開発にむけたリレーショナルデータベースシステムRIQS(Relational Information Query System)提供
RIQSは,使いやすいこと,変化に対し柔軟であること,高速であることを基本に設計されたリレーショナルデータベースシステムで,次のような特長がある.
  • 誰でも理解できる単純な表形式のデータ構造.
  • 表は独立に管理・保守され,データ間の関係づけは,データの値によってしかも動的に行うことが可能.
  • 高水準言語から表データを直接アクセス可能とするREAD/WRITE方式のRIQS-DMLが提供されており,表データを従来の標準ファイルと同様にアクセス可能.
(3)体系化されたソフトウェア開発支援システムの提供
ソフトウェアエンジニアリングアーキテクチャSEA/I(Software Engineering Architecture/One)に基づき,電算室が中心となって行う基幹業務の効率的な開発のために,すなわち短期間に良質のソフトウェアを大量に作成できる環境を用意し,保守性の向上も狙いとして,次のような局面から整理,体系化されたソフトウェア開発支援システムを提供した.
  • 非手続き型言語IDL(Integrated Data-oriented Language)を主体とする対話型プログラム作成環境.
  • プログラムのコンポーネントを単位として開発ができる環境と部品・パターンの提供
  • テスト状況把握ツールATAC(Automatic Test Activity Checker)をはじめとする各種テストツール.
  • プログラムプロダクトの一元管理とドキュメンテーション機能を有するプロダクト管理支援システム.
(4)統合オフィスシステム「アラジン」の提供
コンピュータシステムをオフィスでの人間行動に近づけることを狙いとして,実際のオフィス環境,すなわち,作業者・キャビネット・事務机・文書・ファイル・メールボックス・くずかご等をコンピュータ上で実現した「仮想オフィス」を提供した.アイコン利用の対話形式操作で,机上の事務作業と同じ感覚と手順で簡単な業務実行を可能である.
さらに,ビジネス上の意思決定を支援する「デシジョンサポートパートナ」,文書処理・データ処理を支援する「オフィスワークパートナ」,コミュニケーションを支援する「オフィスコミュニケーションパートナ」によりオフィスの基本機能を統合に提供している.


主記憶装置の論理階層構造

主記憶装置の論理階層構造


 
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