【日本電気】 MOD VII

NEAC-シリーズ2200のモデル700に対するマルチプロセッサ(主記憶装置を共有するデュアルシステム)対応のオペレーティングシステムとしてMOD VIIが開発された.基本的な機能はMOD IV,MOD IV EXと互換性を有し,マルチプロセッサ対応機能および大規模システムとして以下の強化が図られた.

(1) 主記憶装置の管理(2台のCPUからの主記憶の共有,割り当て機能)
主記憶装置にはレシデントモニタエリアとユーザオペレーティングエリアがあり,ユーザオペレーティングエリアはセットに分割され,2台のCPUに共有されるセットと各々のCPUに占有されるセットに分類された.共有されるセットは,その中に含まれるパーティションごとにスケジューラにより動的にCPUが割り当てることができた.
(2) 入出力装置の管理(2台のCPUからの入出力装置の共有・排他機能)
クロスコール機構によりCPUから独立して複数のジョブから共有される入出力装置の割り当てとジョブ間でボリューム,ファイル,ブロックの排他的使用を可能とした.また,チャンネルスケジューリングの範囲をセクター間にまで拡張し入出力バス,ラインの偏りを回避した.
(3) 中央処理装置の選択(ジョブの実行時のCPUの選択機能)
CPUの選択基準はユーザの指定またはジョブの使用する資源のうちCPUに従属するものの有無によりスケジューラが自動的に選択する機能を実装した.
(4) 事象の同期および逐次使用資源の管理
CPU間,処理モード(割り込み,処理優先順位)間でECB(event control block)およびTCB(task control block)のWAIT/POST,SUSPEND/UNSUSPEND機能を提供しシステムのタスク間の同期,排他を矛盾なく可能とする機能を提供した.
(5) CPUおよび処理モード間リエントラントプログラム
システムモニタのうちCPUから共有されるレジデントアエリアに配置される処理ルーチンのリエントラント化とCPU,処理モード間で共有されるフィールドの更新と参照が同時に発生した場合での無矛盾性を保障した.
(6) ジョブの入力と結果の出力
CPU間で共有されるメモリ上のキューにより複数のインプットリーダ,アウトプットライタを同時に稼働できるように強化された.
(7) システムファイルの配備
クロスコール機構により共有されるSRV(system resident volume),SPFL(system program file)の最適化配置,プール化による性能の最適化を実施した.
(8) 構成制御・リカバリシステム
構成制御は,システムの構成を柔軟に変更できるようメモリブロックの接続,切断,変更等の管理およびトランク・ポートとセクタ・ポートの接続,切断の制御と管理,2台のCPUの接続,切断,構成制御割り込みを利用したCPU間の通信制御機能を提供した.リカバリシステムは,単一障害の波及によりシステムダウンに繋がることを極力防止することを目的に障害検出時の自動リトライ,障害個所の自動切り離し,診断保守,障害個所からのリスタートといった4段階のリカバリ処理を実現した.これらの機能は,MOD VIIのレジデントエリアで動作するコントロールプログラムとして実装された.

マルチプロセッサ構成でのジョブコントロールフロー

マルチプロセッサ構成でのジョブコントロールフロー