富士通は,1954年から1958年にかけ,リレー式計算機FACOM 100,FACOM 128A,FACOM 128Bを出荷したが,ソフトウェアは富士通からは提供されず,使用者が機械語でプログラムを作成した.同社は,1958年に大型汎用コンピュータFACOM 222の開発開始とともにプログラムの研究を開始し,FACOM 222P用にFORTRANプログラミングシステム(FACOM 222P FAST),アセンブラプログラミングシステム(FACOM 222P FASP)(*),IOCS(Input Output Control System),およびSORT/MERGEを試作した.FACOM 222Pの主記憶は400語のコアメモリと9,600語の磁気ドラムで構成されたため,今日の仮想記憶に似た制御を行わせるための種々の工夫が行われた.
これらの試作を経て,1963年にFACOM 222A用ソフトウェアとして,FORTRAN(FACOM 222 FAST),アセンブラ(FACOM 222 FASP),IOCS(Input Output Control System),およびSORT/MERGEを提供した.
このFORTRANプログラミングシステムは,リロケータブル・バイナリ・ローダ(FACOM 222 FAST LOADER),実行時のサブルーチン,および小さいモニタを自システム内に持った閉じたシステムであった.また,アセンブラも1つのシステムを構成し,オブジェクトプログラムがIOCSとSORT/MERGEを利用する方式をとった.
*: FASP = FACOM Automatic Symbolic Program