DPシリーズは,当時,企業内オンラインシステムが全社的・全国的な規模で展開されつつあり,従来の集中処理システムのデメリットを解消する分散処理指向のネットワークおよびシステムに対応するため開発した高性能・高機能インテリジェント端末だった.さらに,このDPシリーズをベースにして,本格的マルチワークステーションオフコンとしてのシリーズ(TOSBACシステム15/60,システム45,システム65,システム85)が開発された.
DPシリーズでは,端末側でできる処理はすべて端末側で処理し,真に必要な機能だけホスト側で処理する思想で,業務システムを効率よく開発し,かつ使いやすく処理能力の高いシステム運用を行うのに必要十分なソフトウェアを完備した.ソフトウェア体系は下記のようなものであった.
- (1)制御プログラム
- 1)システム管理:マルチプログラミング,多重処理を効率よく実行させる機能を装備
- システム資源の集中管理
- 多種プログラム管理のための種々の同期制御
- オペレータとの対話形通信管理
- ジョブカタログの解析/管理
- ジョブカタログシーケンス機能によるジョブ連続処理
- 2)データ管理:制御対象となるすべてのデータ,ファイルを統合的に管理し装置の独立性を確保する
- 順編成ファイル,索引編成ファイル,相対編成ファイルの3種類のファイル編成サポート
- 共有ファイルへのアクセス制御
- ワークステーションとのデータ入出力管理
- データベースシステムとしてCODASYL型のネットワークDBをサポート
- 3)メッセージ管理:伝送回線を使用して接続するオンラインシステムの制御を司る通信制御プロセッサ(NCP)と一体となり効率よいオンラインシステム構築をサポート
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- メッセージ管理システム(MCS)を経由することでメッセージキューイング処理ができる
- COBOLのSEND,RECEIVE,ENABLE,DISABLE命令を使用し簡単にオンラインプログラム作成ができる
- (2)処理プログラム
- 1) COBOL:
- JIS COBOLに準拠した最新言語仕様を取り入れた.例えば,外部データ節で情報の受け渡しができる(各プログラム間で共有するデータ領域を定義)など
- 2) データエントリサブシステムATLAS:
- クリーン(誤りのない)データを能率よく入力するための,キーエントリとOCRエントリを統合したサブシステムを装備
- 3) オンライン通信サブシステム:
- トランザクション処理,直接アクセス処理,タイムシェアリング,リモートジョブエントリ,ファイルトランスファー
- 4) SCOPE-2:
- オフコンシリーズには,TOSBACシステム15シリーズ(モデル10,20,30,40)に装備されていたSCOPE-1をベースに開発した事務処理用簡易言語として提供
- (3)水平・垂直分散処理ネットワークソフトウェア
- 複数のDPシリーズ間を統一インターフェイスで水平・垂直結合するネットワークシステム「DPNET」を提供し,分散設置されたDPシリーズ同士を一つの大きなシステムとして運用することを可能とした.