TOSBACシステム15はCRTを採用したオフコンであり,東芝として「オフコン」という名称を使い始めた機種である.1977年4月のモデル10,20の発表に始まり,以下のようなモデル強化を順次行い,幅広い利用形態に対応できるシリーズとして成長し,その後の漢字システム15へとつながる.
- 1977年04月 モデル10,20 フロッピーディスクベース
- 1977年10月 モデル30 固定磁気ディスクベース
- 1977年11月 タッチイン コードレス入力用タッチインキーボード採用
CRT採用により,入力伝票をCRTに表示して対話型操作をしながら結果をプリンタに印刷する直接データ処理(DDPS:Direct Data Processing System)が可能となり,データ処理の正確性と生産性が大幅に向上した.
システム15は機能分散アーキテクチャを採用した.入出力制御,構内接続回線制御などのようなシステム機能をモジュール化し,マイクロプロセッサとファームウェアで実現,高速システムバスで接続することによりシステムを構成した.また,システムに接続されるKB/CRT端末をワークステーションと呼んだが,このワークステーションにもマイクロプロセッサが内蔵され,端末側で伝送制御,入出力データの前処理,後処理,表示制御などの高度なインテリジェント機能を持っていた.
モデル10は,片面単密度フロッピーディスク装置(容量243キロバイト),モデル20は,両面単密度フロッピー装置(容量486キロバイト)を装備していた.一方,モデル30では,10メガバイト/30メガバイトの固定磁気ディスク装置が装備された.1997年に発表されたタッチインシステムは,モデル10,20,30のJIS配列キーボードを,タッチインキーボードとコードブックに置き換えたもので,得意先コードや商品コードなどの入力を簡単にした.
ファイル装置 | フロッピーディスク装置 | 片面単密度/両面単密度,容量243KB/486KB |
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磁気ディスク装置 | ウィンチェスタ方式,容量10MB/30MB,平均アクセス時間40ms | |
磁気テープ装置 | 45ips,2400フィート/巻 | |
カセット磁気テープ装置 | 10ips,800bpi | |
ステーション装置 | CRT | 640文字/1920文字/2000文字 |
シリアルプリンタ | ドット式:100cps/150cps 活字式:55cps | |
キーボード |
フルキーボード:JIS配列準拠 タッチインキーボード:192項目/ページ |
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ワークステーション | CRT:640文字,FDD,ドットマトリクスプリンタ:100cps | |
周辺装置 | 光学式文字読取装置(OCR) | 帳票サイズ:A4〜A6,最大700文字/枚,読み取り速度2〜20枚/分 |
ラインプリンタ | 100〜170行/分,240行/分 | |
カード読み取り装置 | 400枚/分 | |
紙テープ読み取り装置 | 200cps | |
紙テープせん孔装置 | 50cps | |
通信制御装置 | 200〜9600bps,同期/非同期,自動発信 |
TOSBACシステム35は,TSOBAC-1350モデルIIIの後継機として,プログラムとデータの互換性を維持しつつ,ハードウェアの強化を行い機能/性能向上を目指し開発され,1977年にTOSBACシステム15や同システム55と同時に発表された.システム35のハードウェアは次の特長を持つ.
- (1)シリアルプリンタ 両方向印字,プラテン分割機能標準装備.印字速度:100cps
- (2)磁気ディスク装置 固定磁気ディスク装置,容量:9.8メガバイト,平均シーク時間40ms
- (3)CRT表示装置 12インチ,80文字×24行
- (4)主記憶 ICメモリ,32キロバイト
TOSBACシステム55は,TOSBAC-1350モデルV後継機として開発され,同じく1977年4月に発表された.システム55は次のような特長を持つ.
- (1)磁気ディスク装置 固定磁気ディスク 容量:30メガバイト 平均シーク時間:40ms
- カートリッジ型 容量:16.7メガバイト 平均シーク時間:30ms
- (2)CRT表示装置 12インチ,80文字×24行
- (3)主記憶 ICメモリ,32〜224キロバイト
- (4)プログラミング環境 COBOL
- (5)多重プログラミングシステム
- (6)COBOLによる本格的オンライン処理
- (7)充実したジョブ制御機能