【日本電気】ITOS-4(V)

 ITOS-4(V),(V)の意味は,Versatile(多用途)であることを示している.
 ITOS-4(V)の特徴的機能として,データベースITOS-RDBとネットワーク機能ITOS/NETがある.
このOSを搭載したオフコンとしてNECシステム100/58,同150/68,同150/78が,出荷された.  従来の複数索引ファイルに対し,データベースエンジンを搭載することでリレーショナル型データベ−スITOS-RDB(Relational Data Base)を開発した.エンドユーザ機能として検索機能を中心としたRDB/EUF(プログラム名RDBQとしても呼ばれていた)を提供.RDBのデータを活用し簡易レポートが作成できるRDB-MERIT(Manager’s Easy Reporting Interactive Tools)を提供した.
 ITOS-RDBの取り扱う表には,基本表・仮想表(選択型・合併型)があった.
 また,この頃になると回線を使って,本社・支店・営業所などを接続されるお客様が多くなり,通信を意識しないで簡単にプログラミング・システム構築をしたいというニーズが増えてきた.
 ITOS/NET(アイトスネット と読む)は,本社・支社・支店などに設置した複数台のオフィスコンピュータ間を回線で接続して,お互いのシステム,お互いのファイルを,参照することができた.その際のアプリケーションプログラムの作りとしては,普通に自システムで動作するようプログラミングしておき,プログラムとは別にITOS/NET環境で,ネットワークを介した定義をすることで実現できていた.他システムのワークステーションを自システムのワークステーションとして利用できる仮想リモートワークステーション(VWS:Virtual Work Station)機能のほか,他システムのファイルをあたかも自システムのファイルとして使用できる遠隔ファイルアクセス(RFA:Remote File Access)機能を有していた.このITOS/NETは,リレーショナル型データベースRDBと合わせて,ITOS-4(V)では必須な機能として多くのお客様で利用されることになった.
 Versatile(多用途)というOS名称も示しているようにオフコンのOSとして,従来の基幹系業務以外の多くの業務でも使われるようになってきた.その1つにOA業務がある.
 当時,OA(オフィスオートメーション)化が進んでいく中で,OAソフトウェアに意思決定支援用として,LANFILE(データ作成検索),LANPLAN(表計算機能),LANSTAT(統計解析処理),LANFORECAST(予測処理),LANMAP(地図グラフ処理)LANDESK(WORD,PLAN,GRAPH,FILE機能を統合),音声応答装置VS-3300,SR-2500を接続することによって電話回線を利用したデータエントリシステム,問合せシステム,予約システムなどの音声応答システムを構築できるLANPHONEなどを提供した.これらのプログラムは,端末側のプログラムとして動作し,サーバに当たるオフィスコンピュータとのデータ共有/データ交換ができていた.
 このようにオフィスコンピュータが伝票処理といった事務部門の業務処理から,会社全体の仕事を総合的に引き受けるようになり,オフィスコンピュータの使い方が変わってきた時代でもあった.製品名もオフィスコンピュータから,オフィスプロセッサへ変わってきたのもこの辺りからである.
 ITOS-4(V)として接続可能な端末台数は,最大56台であった.


 
ITOS-4(V) データベース(説明書表紙)ITOS-4(V) RDB/EUF(説明書表紙)