【日本電気】 OS-1,OS-3,OS-4

 オフィスコンピュータ向けにまったく新しく開発されたオペレーティングシステムであり,OS-3,OS-4,OS-1という名称で発展した.OS名の末尾の数字は主たる記録装置を示しており,3はドラム,4はディスク,1はフロッピーディスクを示している.
1975年8月に,NEACシステム100の後継・上位機として出荷されたNEACシステム100G,Hに搭載し出荷された.
 1976年4月には,国産初の16ビットLSI プロセッサ,LSI 製の周辺制御回路を採用したオフィスコンピュータNEACシステム100E,100Fに搭載し出荷(100G,100Hの下位機)した.
 NEACシステム100E,100Fは,従来のプリンタに代わってCRTディスプレィを標準装備した国内では初めての卓上型オフィスコンピュータであった.CRTは横40文字・縦16行という小さいものであったが,従来のコンピュータとはまったく違った操作性を発揮できるようになってきた.もちろん,CRTはキーボードと同期をとって動作し,コンピュータへの指示,コンピュータからの表示だけでなく,業務での入力・表示装置として従来のキーボード・プリンタに取って代わるものになってきた.
 アプリケーション開発言語としてもCOBOLが動作できるようになってきた.このCOBOLは,COBOL4と呼び,JIS規格水準1に準拠していた.言語としての規格水準は低かったが,オフコン開発用言語として,COBOLが装備されてきたのは画期的なものであった.


図-1 COBOL4 言語水準

図-1 COBOL4 言語水準

 OS-4には,プログラムの動作形態から,3つの処理形態が存在していた.

  • バッチ系処理    :逐次実行が可能なようにJCLも装備
  • インクワイアリ処理 :動作中のバッチ系プログラムをいったん中止し,割り込みで処理をしたいプログラムを起動し,実行する.割り込み処理が終わったら,中止していたバッチ系プログラムを再開する.
  • マルチワーク処理  :1977年12月に出荷したマルチワークシステムにおいては,ステーション(タイプライタ型,ディスプレイ型)を最大8台まで接続し,伝票発行のような業務をフォアグラウンドで最大8タスク,加えてバックグラウンドでバッチ処理タスクを1つ,合わせて9つの処理を同時に実行できていた.ファイルの共用排他制御機能も持っており,伝票発行などにおける最新の在庫を確認できるようにプログラミングできていた.プリンタについても複数のプログラムから1台のプリンタをページ単位に共用できる機能を提供していた.
 これらの経験は次の本格的なオフコンのOSにて活かされ,後の対話型ITOSへと発展し,その後にさまざまな機能が強化され,システムの規模(端末接続台数など)が拡大していく中でも,操作性・ユーザプログラム資産の継承が可能なシステムとなっていった.


  
NEACシステム100マルチワークシステム(説明書表紙)