【日立】 MIOS7系OS

MIOS7
MIOS7系OSとしては,まず,1983年,OA対応の多機能オフィスコンピュータとして,接続ワークステーション数をはじめハードウェア規模を大幅に拡張し,高機能化を図ったシステムHITAC L-70シリーズ向けに,下記の特長を持つMIOS7が開発された.
(1)対話形による処理実行
データ処理,グラフ処理,日本語文書処理,パーソナルコンピュータ処理など,多様な処理を操作性の良い対話形で実行できる.
(2)日本語による対話処理
多文節かな漢字変換による日本語入力が,すべての対話処理で使える.
(3)ジョブの特性に合わせた実行管理
ジョブの特性に合わせ,ステーションコントローラ上とワークステーション上の実行を選択できる. ステーションコントローラ上では高速処理を前提としたバッチジョブ,対話ジョブを,ワークステーション上では高速応答性の要求される対話ジョブを実行する.
(4)帳票の簡易作成
帳票を簡単に作成できる帳票処理ソフトウエアCOOKS(Cooking System)をサポート.
(5)階層形構造のファイル
階層形構造のファイル形式,動的な領域の確保,拡張および削除をサポート.
MIOS7/ES
1986年には,オフィスの統合OA実現を支援するHITAC L-70/8シリーズ用のOSとして, 下記の特長を持つMIOS7/ESが開発された.
(1)基幹情報の多角的利用
  • マルチメディア統合OA
  • 情報の高度利用が可能なリレーショナルデータベース
(2)ネットワークシステムによる情報交換
  • HITAC Mシリーズホストとの垂直分散
  • ワークステーションとの垂直分散
  • オフィスプロセッサ間の水平分散
(3)情報の共同利用と部門間の連携
  • マイクロメインフレーム結合
    -ホスト基幹データベースからの部門用データベース作成
    -電子キャビネットによる文書の部門間共有
    -電子メールによる文書配布
  • PCコネクション
MIOS7/AS(AS2)
1989年には,情報のより戦略的活用を支援するHITAC L-700シリーズのOSとして,下記の特長を持つMIOS7/ASが開発された.
(1)自律分散機能
オフィスプロセッサの利用層の拡大,利用の高度化が進む中で,コンピュータ障害等による業務停止の影響は大きい.これに対応するため,自律分散技術を適用しシステムの無停止化をはかるエバーラン機能が開発された.
(2)知的帳票認識機能
画面の定義や処理の手続きなどの煩雑なプログラムを,帳票や伝票のフォーマットをイメージ入力するだけで自動的に生成できる.
1993年には, オープン化に対応し,基幹業務アプリケーションシステムを,PC,LANを利用したクライアントサーバ環境で構築できるelles7シリーズ用のOSとして,MIOS7/AS2が開発された.
マイクロメインフレーム結合
図-1に, マイクロメインフレーム結合の概念を示す.

図-1 部門コンピュータとしてのマイクロメインフレーム結合の利用例

図-1 部門コンピュータとしてのマイクロメインフレーム結合の利用例

オフィスプロセッサはホストコンピュータとワークステーションの間で,部門内データ管理,ワークステーション側OAソフトとの連携制御およびネットワークの制御を行う.

①部門用データ抽出とデータ転送,②部門用データベース検索,③ワークステーションへ検索結果転送,④レポート(文書)作成,⑤データの加工・分析,⑥レポートを電子キャビネットに格納,⑦電子メールでレポートを配布,⑧ワークステーションをホストと接続
注)eDATA(データベース検索用エンドユーザ言語),eCABINET(オフィス文書管理),eCABINET/MAIL(電子メール支援),560/20DSC(T-560/20エミュレーション支援),OFIS/TRANS他(ワークステーション側OAソフト)

マイクロメインフレーム結合機能により,従来ワークステーション側で個人個人が作成していた情報をシステムの共用財産としてオフィスプロセッサ上で有効活用したり,基幹業務で作成したリレーショナルデータベースの情報をワークステーション側で利用することができる.
(1) ホスト基幹データベースからの部門用データベース作成
部門用データベースをホストコンピュータの基幹データベースから取り出し,eDATAで部門に必要なデータだけを検索・抽出できる.
(2)電子キャビネットによる文書の部門間共有
ワークステーション側で作成した文書をオフィスプロセッサの大容量な保管庫(電子キャビネット)に格納し,この電子キャビネットを複数部門で共用することができる.
(3)電子メールによる文書配布
電子キャビネット内の文書をオフィスプロセッサ内およびオフィスプロセッサ間で指定した受取人あてに メールボックスを使用して配布できる.
また,パーソナルコンピュータと連携した業務ニーズとして,大容量・高性能なファイルサーバ,プリントサーバとの連携(PCコネクション)がある.サーバとしてオフィスプロセッサを利用することにより,パーソナルコンピュータから基幹業務での大量情報を直接使用したり,オフィスプロセッサのデータ処理機能を利用できる.
エバーラン機能
図-2,図-3に,自律分散技術を適用したエバーラン機能の概念を示す.

図-2 エバーランファイル機能

図-2 エバーランファイル機能

ファイルを別々のオフィスプロセッサに2重化して管理できる.

図-3 エバーラン対話機能

図-3 エバーラン対話機能

オフィスプロセッサの画面にアクセスできなくなったとき,別のオフィスプロセッサにそのまま画面を引き継げる.

エバーラン機能により,システム内の障害発生や拡張,保守などによるシステム構成変化時にも,ユーザが実行中の業務を止めることなく,そのまま業務を続けられる.
エバーラン機能においては,システムを構成する各サブシステム間を1対1の接続とせず,サブシステム間のデータ交換の場(データフィールド)を介して接続する.各サブシステムではデータフィールド上のデータの中から必要なデータを判別し,自サブシステム内に取り込み処理を行う.また,処理結果のデータも,データの内容を示すコードを付け,データフィールドに送出する.
知的帳票認識
図-4に, 知的帳票認識プログラムBELIEVEの概念を示す.

図-4 知的帳票認識による自動生成処理の流れ

図-4 知的帳票認識による自動生成処理の流れ

帳票や伝票の形をイメージ入力することにより,フィールドの生成,属性の設定,各フィールド対応の処理手続きを生成できる
知的帳票認識プログラムBELIEVEは,帳票や伝票のフォーマットをイメージ入力するだけで,画面や処理の手続きを自動生成するプログラムであり,下記の特長を持つ.
(1) 既存の指定伝票をイメージ入力するだけで画面レイアウトができる.
(2)自動生成したプログラムは,第4世代言語ETOILE/OPまたはCOBOLで作成したフォーマットと同じであり,自由に修正できる.
(3)ワードプロセッサで作成した帳票や伝票の形式をもとにプロトタイプを作成できる.

  
MIOS7/ASのマニュアルの表紙