【日立】初期の日立オフコンOS

HITAC1,5,55用ソフトウェア
ビリングマシンは現在ではオフィスコンピュータと呼ばれているが,当初はレジスタをメモリに持つ会計機から出発し,カセットテープやフロッピーディスクを接続し,高度なソフトウェアを持つようになった.1970年,オフィスコンピュータの前身として,本格的ビリングマシンHITAC1用ソフトウェアが発表された.その後1973年には,磁気カードをベースとしたビリングコンピュータHITAC5,オフィスコンピュータHITAC55用ソフトウェアが発表された.HITAC55は,ビリングマシンとしての機能とオンラインターミナルとしての機能を併せ持っていた.ターミナル機能により,従来のバッチ処理主体のデータ処理分野に,クリーンデータの作成をデータ発生現場で行う分散データ入力が可能になった.
L-320/PS
L-320/PSは,データエントリ, 帳票発行,リモートジョブ入力等の機能を併せ持つ汎用インテリジェントシステムHITAC L-320のOSとして,下記ニーズを踏まえ開発された.
  • ユーザプログラム作成およびシステム運用上の効率向上を図ること.
  • 初心者オペレータでも簡単に扱える優れた操作性を持つこと.
  • オフラインでのスタンドアローンタイプのオフィスコンピュータとしての位置付けと,回線接続時の汎用インテリジェント端末としての位置付けの両面を実現すること.
L-320/PSは,これらのニーズに対応して下記の特長を備えている.
(1) データエントリ/帳票発行プログラム作成用の簡易言語としてRFD(Record Format Descriptor)をサポート
(2)リモートバッチ処理プログラム作成用言語として拡張RPG(Report Program Generator)をサポート
(3)データエントリ向けのサーチアンドアップデート,リモートバッチ処理向けのソート/マージなどのユーティリティプログラムをサポート
(4)データエントリとファイル伝送などの業務プログラムを2本並列実行するデュアルジョブ機能をサポート

図-1に,RFDによる帳票発行プログラムの作成例を示す.

図-1「RFDによる帳票発行プログラム構造例」

図-1「RFDによる帳票発行プログラム構造例」

多品一葉伝票の発行処理を行うRFDプログラム構造の例を示す.RFDの標準エラーリカバリー機能(コントロールキーI,II),およびコントロールキー機能(IV,V)の使用により,容易にプログラミングできる.例えば,オペレータが上記売上伝票のボデー部(商品毎の入力行)のデータ入力後,次の行でコントロールキー(IV)を打鍵したとき合計欄の処理をするようプログラムを分岐させることができる.

RFDは,データエントリ/帳票発行処理におけるオペレータのキー入力データのチェック,エラーデータの修正等のプログラミングを容易にできる簡易言語であり下記の特長を持つ.
(1)パラメータ形式でプログラムが記述でき,帳票様式をみながら簡単に作成できる.
(2)オペレータの操作ガイドをプログラムとして容易に組み込める.
(3)キー入力データに対する豊富なチェック機能を持つ.
(4)エラーデータに対して,コントロールキーを用いた標準エラーリカバリができる.

  
L320/60用OSのマニュアルの表紙