FUJITSU GS8000シリーズ(グローバルサーバ)の新たな最上位モデルグループとして1998年1月に発表された.富士通の超大型汎用コンピュータとしては,初めてCMOS汎用プロセッサを採用.当時の富士通の現行超大型汎用機FUJITS GS8600に比べ単一CPUで1.8倍,12CPUモデルである最上位機で約2.3倍の処理能力を有する.FUJITSU GS8800モデルグループの追加により,FUJITSU GS8000シリーズ(グローバルサーバ)はシリーズ全体で約3400倍の性能レンジをカバーした.このFUJITSU GS8800モデルグループは以下の特徴を持つ.
- (1)最先端のCMOS(注1)テクノロジ(0.25μm)の採用.
富士通の従来のECL(注2)テクノロジによる最上位機FUJITSU-M1900に対し単一CPUで約1.5倍の性能を実現. - (2)MCM(注3)やシステムボードといった最先端の高密度実装技術により,12CPUのTCMP(注4)を実現.
- (3)並列技術SCMP(注5)による高いスケーラビリティ
最大の8クラスタモデルまでの拡張により,このモデルグループで23倍の性能レンジをカバー. - (4)富士通の従来モデルに比べ設置面積を最大1/3に縮小し,接続ポートを最大240まで拡張できる新たなOCLINK(注6)ステーション(F9160B)を提供.
- (注1)CMOS: Complementary Metal Oxide Semiconductor(相補性金属酸化膜半導体)
- (注2)ECL: Emitter Coupled Logic (エミッタ結合論理)
- (注3)MCM: Multi-Chip Module
複数のLSIチップを薄膜セラミック基盤上に搭載したモジュール. - (注4)TCMP: Tightly Coupled Multi-Processor (密結合マルチプロセッサ)
- (注5)SCMP: SSU Coupled Multi-Processor (SSU: System Storage Unit(システム記憶))
FUJITSU M-1800モデルグループ(1990年)とともに提供された方式. - (注6)OCLINK: Optical Channel LINK
グローバルサーバとストレージ間の高速・大容量のデータ転送を実現する富士通独自のストレージ接続インタフェース規格. 最大転送速度17メガバイト/秒.
1999年10月には,さらなる上位機FUJITSU GS8900モデルグループ(12モデル)が発表されている.GS8900グループの特徴は,0.18μmの銅配線CMOSの採用,単体CPUの性能向上(既存モデル比1.5倍),およびTCMP構成で最大16CPUまでスケーラビリティを向上させた点にある.16CPU構成での性能は2000MIPSを超える.
モデル名 | 10A | 20AS | 20A | 30A | 40A | 40B | 60B | 80B | 100B | 120B | 120T |
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発表時期 | 1998年5月 | 1998年1月 | 1999年2月 | ||||||||
相対性能(*1) | 3.0 | 4.2 | 5.4 | 7.7 | 9.8 | 14.8 | 20.3 | 25.6 | 30.2 | 34.0 | 38.9 |
CPU数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 6 | 8 | 10 | 12 | |||
主記憶容量 | 512MB 〜8GB |
1GB 〜8GB |
1GB 〜16GB |
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システム記憶 | 5124MB〜16GB | ||||||||||
チャネル | 16〜256台 |
モデル名 | 10P | 10Q | 10R | 10S | 10 | 20S | 20 | 60A | 80A | 100A | 120A |
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発表時期 | *2 | 1998年5月 | 1998年1月 | ||||||||
相対性能(*1) | 1 | 1.3 | 1.7 | 2.3 | 3.0 | 4.2 | 5.4 | 13.5 | 17.2 | 19.9 | 22.4 |
CPU数 | 1 | 2 | 6 | 8 | 10 | 12 | |||||
主記憶容量 | 256MB 〜4GB |
256MB 〜8GB |
512MB 〜8GB |
1GB 〜16GB |
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システム記憶 | 5124MB〜16GB | 5124MB〜16GB | |||||||||
チャネル | 16〜128台 | 16〜256台 |
(*1)GS8800/10Pを1とした場合
(*2)1998年5月の発表時にはなかったが1998年10月に発売されたモデル.モデル60A〜120A(★網掛け部)は1999年2月時点でモデル60B〜120Bに置き換えられた.
モデル名 | 200 | 300 | 400 | 500 | 600 | 700 | 800 |
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発表時期 | 1998年1月 | ||||||
クラスタ数 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
CPU数 | 1〜12CPU/クラスタ | ||||||
システム記憶 | 512MB〜16GB (2重化構成,4重化構成はオプション) |
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クラスタ接続装置 | 2台 (2重化構成標準) |
モデル名 | 900 | 1000 | 1100 | 1200 | 1300 | 1400 | 1500 | 1600 |
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発表時期 | 1999年2月 | |||||||
クラスタ数 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
CPU数 | 1〜12CPU/クラスタ | |||||||
システム記憶 | 512MB〜16GB (2重化構成,4重化構成はオプション) |
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クラスタ接続装置 | 2台 (2重化構成標準) |
以上の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.