【東芝】 ACOSシリーズ77 システム600,700

ACOSシリーズ77の最初の大型機として1974年に発表された.製品名は,ACOSシリーズ77 システム600,700であるが,ACOS 600,700として知られた.

ACOSシリーズ77の大型機は,TOSBAC-5600をベースにして開発され,互換性を維持しながらもアーキテクチャを一新するという困難な課題に挑戦した.その特徴は,(1)当時の最新技術であったMSIの採用,(2)マルチプロセッサ構成でのキャッシュメモリの採用,(3)セグメンテーション方式とページング方式による分散・動的主記憶管理を基本にした仮想記憶方式の導入(最大プログラム空間が64MB),(4)ドメイン保護方式による高度のアクセス制御方式の採用,(5)オンラインによるハードウェア自己診断機能によるRAS機能の充実,(6)共有セグメント機構による共有ライブラリの実現,などである.

1976年には,ACOS600,700の上位機となる,システム800(ACOS 800)が発表された.

(1)CMLチップをTABのかたちで厚膜セラミック基板上に密封実装するマイクロパッケージ技術の採用,(2)プロセッサを2重化し,クロックサイクルごとに2重化したプロセッサ同士の結果を比較し誤り検出を行う,というような斬新な技術が採用された.同年には,科学技術計算用に浮動小数点機構ハードウェアを新たに開発し,さらに性能向上を達成したモデルとしてシステム900も開発された.

また同じ年には,中型機の価格帯レンジをカバーするモデルとしてシステム600S(ACOS 600S) が発売された.CPUとしては,AMD社製ビットスライスマイコンAMD2901を採用し,低価格化を実現するとともに,マイクロプログラムにより他のACOSシリーズ77大型機と完全互換を実現した.


 
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