日立製作所の汎用機シリーズ.HITAC Mシリーズは,アーキテクチャを当時ユーザに最も広く受け入れられていたIBM S/370のアーキテクチャに合わせるとともに,アーキテクチャと関係の深い入出力インタフェースもS/370インタフェースに合わせた.また,HITAC 8800/8700システムで採用した仮想記憶方式,バッファ記憶方式,入出力処理装置などの技術を活かし,高性能化,機能の強化を図った.
HITAC Mシリーズの開発は1971年秋より始まり,第1弾として1974年11月にM-180が発表された.これに続いて1975年5月にM-170,11月にM-160II,1977年2月にはM-150が発表された.
上位機のM-180はコンピュータネットワークや大規模データベース/データコミュニケーションシステムの中央コンピュータとして,また科学技術計算用の大型コンピュータセンターにおける中心的な役割を果たすコンピュータとして,優れた能力を発揮した.科学技術計算を高速に処理するための高速演算機構や内蔵アレイプロセッサ(ベクトル計算用)が搭載された.
M-170はM-180に次ぐ大型コンピュータで,上位機種と同様バッファ記憶を備えている.データベース/データコミュニケーションシステムの主役として,またリアルタイム処理,リモートバッチ処理,TSS処理や大規模バッチ処理システムの中心として,優れた性能を発揮した.
M-160IIはM-170に次ぐ大型コンピュータで,このクラスのコンピュータのうちでも,特にコストパフォーマンスの高い点が特長.M-180/M-170と同じオペレーティングシステムのもとで運用されるので,これら上位機種とは完全な互換性がある.Mシリーズの普及形として幅広い分野に使用された.
M-150は下位の中型機で,最新技術の採用により,コンパクト化と高性能化を実現させた.
M-150 | M-160II | M-170 | M-180 | |
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CPU台数 | 1 | 1 | 1 | 1〜2 |
主記憶容量 | 192KB〜1MB | 256KB〜4MB | 512KB〜8MB | 1〜16MB |
バッファ記憶容量 | − | − | 8/32KB | 16/64KB |
チャネル数 | 4および各種内蔵制御機構 | 5 | 8 | 16 |