富士通の汎用機FACOM Mシリーズの最初の機種.大型FACOM M-100シリーズの最上位を占める超大型機で,通産省の補助金を受けて開発され,1974年11月に発表された.翌年の1975年11月の日本電子計算機ショウで,各社が補助金を得て開発した成果が披露された際,本機はLSIコンピュータとしてその性能の高さとコンパクトさが注目された.その後も性能の高さが世界で評価され,FACOM Mシリーズ成功の基礎を築いた.なお,大型FACOM M-100シリーズの機能詳細は「大型FACOM M-100シリーズ」の項を参照されたい.
FACOM M-190は,同時に開発された姉妹機であるAmdahl 470/V6と共に,世界初の全面LSI採用の超大型コンピュータである.Amdahl 470/V6は,アムダール社(注1)の超大型コンピュータとして富士通が製造を担当し,1975年にその1号機がアメリカ航空宇宙局(NASA)に納入された.このことは日米で大きな話題になった.
(注1) 当時,富士通は米国のアムダール社に資本参加し,両社はLSI採用の超大型コンピュータの共同開発を行っていた.