大型コンピュータに対する需要の増大に対処するため,アメリカXDS社との技術提携により三菱電機にて製作され,1970年に発表された.MELCOM 7000シリーズは,MELCOM 7500とMELCOM 7700で構成されていた.MELCOM 7000シリーズは,バッチ処理に加え,タイムシェアリング処理,リアルタイム処理,リモートバッチ処理の4種類の処理機能を同時にサポートするという特徴を持っていた.特にタイムシェアリング処理においては,プログラムのダイナミック・リロケーションを行うプログラム動的配置機能や,3,000キロバイト/秒の転送速度を持つスワッピング用の高速固定ヘッド磁気ディスク装置などにより,最大128人の利用者が同時にコンピュータを利用できるという高度な機能を持った世界でも数少ないコンピュータの1つであった.
システムは,最大512キロバイトの主記憶を中心に,メモリ・バスを介して,中央処理装置(CPU)と最大8個の入出力処理装置が接続される構成であった.
主記憶は,最大8個のメモリ・モジュールから構成され,各メモリ・モジュールは,独立して動作できた.このため,連続して主記憶をアクセスする時に,順次異なったメモリ・モジュールをアクセスできるようにアドレスを割り付けるインタリーブ方式を用いることにより,連続したアクセスをオーバーラップさせることができ,主記憶の実行アクセス時間を短縮して処理性能を向上させることができた.インタリーブ方式によるアドレスの割付けには,2ウェイと4ウェイの2つがあった.主記憶のサイクルタイムは0.85μsであったが,インタリーブを行うと,実効サイクルタイム0.56μsで動作した.
演算に使用する汎用レジスタは16個あり,内7個がインデックス・レジスタとして用いられた.汎用レジスタは,MELCOM 7500では16組,MELCOM 7700では32組備えることができ,マルチプログラミング時においてプログラム毎に異なったレジスタを割り付けることにより,プログラムの切り替えを高速にすることができた.
命令中のアドレスは語アドレスであり,インデックスの値は命令のオペランドのサイズ(バイト,半語,語,倍語)の単位での変位を示すため,図1に示すように,オペランドが半語なら1ビット,語なら2ビット,倍語なら3ビット,インデックス・レジスタの値を左シフトしてバイト単位での変位に変換され,命令中のアドレスの後に2ビットの0を追加した19ビットのバイト・アドレスに加算された.