【富士通】 FACOM 128A用72単位テープ読取機およびテープ穿孔機

日本初の実用リレー計算機FACOM 100の実績を基に演算速度を5倍に高めた富士通信機製造(現富士通)のFACOM 128A(1956年完成)のために,従来の60単位テープを72単位(36単位2列)に増大したテープ読取機およびテープ穿孔機が開発された.テープ読取機およびテープ穿孔機は,数値データや命令データの入手力用としての用途のみならず,テープ読取機とテープ穿孔機を対で使用して,記憶装置としての役目を果たした.当時,記憶装置としては,FACOM 100ではリレー記憶装置,FACOM 128A(1956年完成)では交換機で使用されたクロスバスイッチの原理を利用した機械式記憶装置が開発されたが,長期保存する場合や容量が不足する場合には,手動で作成した数値テープをテープ読取装置で計算機に読み込ませ,計算機で加工した新しい数値データをテープ穿孔機で穿孔し,新しい数値テープを作成する.そのテープを次の処理の入力として使用することにより,容量が理論的には無限の記憶装置として使用された.

また,FACOM 100では命令の読み込み用にもテープが使用されたが,FACOM 128では,72単位テープ読み取り装置に加え,専用の命令カードリーダ(フジカードリーダと呼ばれた)が使用された.

この72単位テープ読取機およびテープ穿孔機は,FACOM 128BやFACOM 138などでも使われたが,大量データや高速性に優れたIBMカードや磁気テープにその役目を譲り,以後60単位や72単位のような特殊なテープ装置は開発されなかった.


FACOM128A用72単位テープ読取機FACOM128A用72単位テープ穿孔機(装置概観)FACOM128A用72単位テープ穿孔機(テープを装着した内部)