FACOM 6453は,富士通のFACOM 6475カートリッジテープ装置互換のカートリッジテープライブラリ装置であり,1986年に完成した.
同社では,1980年にFACOM 6450大容量記憶システム(MSS)を,1984年にその後継機としてFACOM 6460カートリッジライブラリシステムを開発した.FACOM 6453は,これらの開発で培ったライブラリ装置の技術を活かし,VHSカートリッジを採用したFACOM 6475カートリッジテープ装置を基本コンポーネントとして,記憶媒体の装着,取り外しと保管を自動化した装置で,以下の特長を有した.
- (1) 高速,大容量バックアップ処理の実現
- 2.5メガバイト毎秒の高速データ転送能力を有し,最大668ギガバイト(1巻当り280メガバイトの記憶容量を有するVHSタイプカートリッジを最大2,387巻収容までの大量データの高速バックアップ処理が可能
- (2) システム運用の省力化
- カートリッジテープの取り扱いは自動化され,記憶媒体の交換や運搬といった操作時の負荷が大幅に軽減され,システム運用の省力化が図れる
- (3) 柔軟なシステム構成
- 最小63ギガバイトから最大668ギガバイトまで23種のサブシステムを構成でき,システム規模および要求性能に応じて記憶容量を選択可能
1989年4月には,IBM3480互換のカートリッジテープ媒体の採用,記憶容量の拡大,コンポーネントの二重化や多重化による信頼性の向上,および操作性の向上(カートリッジの連続投入排出,媒体に添付したバーコードリーダの装備によるボリューム通番機能など)を図ったF6655磁気テープライブラリ装置が完成した.
F6453 カートリッジテープライブラリ装置 |
F6455 磁気テープライブラリ装置 |
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完成時期 | 1986年 | 1989年4月 | |
最大記憶容量 | 63 - 668 GB (*1) | 134.8 - 1,056.1 GB (*1) | |
最大収容可能カートリッジテープ数 | 227 -2,387 巻 (*1) | 658 - 5,152 巻 (*1) | |
カートリッジテープ運搬時間 | 5 - 17秒(平均10秒) | 平均10秒 | |
テープロード/アンロード時間 | 12秒/7秒 | 平均 各11秒 | |
データ転送速度 | 平均2.5MB/秒 | 3.0 MB/秒 | |
構成機器 | 基本コンポーネント |
FACOM 6475 カートリッジテープ装置 |
FACOM 6470 磁気テープ装置 |
テープ装置 | 4,8,12,16 台 | ||
制御装置 | 2,4 台 | ||
選択機構(アクセサ) | 1,2 台 | 2台 | |
機器構成の種類 | 23種 | 26種 | |
接続チャネル数 |
最大16チャネル (制御装置当り最大4チャネル) |
最大24チャネル (制御装置当り最大6チャネル) |
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備考 | - |
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*1:最大数の値は,装置の構成によって異なる.