電気試験所では機械翻訳専用機「やまと」を1959年に開発した.
1958年の夏ごろから,和田弘(当時電子部・部長)の指示により,トランジスタ電子計算機ETL Mark IVの基本論理回路を使用して英日翻訳専用機「やまと」を試作することが計画された.翻訳のための辞書を収容できる大容量記憶を持った電子計算機が手許になかったため,専用機として600万円の予算で製作された.本体には基本回路の3種のプラグイン約1,000枚が用いられ,記憶装置には容量82万ビットの大容量磁気ドラムが用いられた.装置の製作は1958年11月に終了し,1959年2月には「I like music」とパンチした紙テープを入力すると,「ワレガ オンガクヲ コノム」とプリンタに出力することができるようになった.本研究の成果については1959年6月にパリで開催された第1回国際情報処理会議で発表された.
現在,「やまと」に使われたプラグインパッケージが国立科学博物館に保存されている.