【富士通】 FUJITSU DS/90 7800E,7900E

富士通のUNIXサーバ DS/90 7000シリーズの最上位機. RISC(注1)プロセッサSuperSPARC(注2)を搭載.1995年5月に富士通とPFUから共同発表された.同時にhyperSPARCを搭載したDS/90 7500(I,II)/7700(I,II,III)も発表された.
DS/90 7800E,7900EはNUMA(注3)と呼ばれる分散共用メモリ方式により,高いスケーラビリティを実現した.NUMA対応のエンハンスを施した富士通製のOS「UXP/DS」(注4)を搭載.DS/90 7800E,7900Eは以下の特徴を持つ.

(1) NUMA(注1)と呼ばれる分散共用メモリ方式を採用
2個または4個のCPUとメモリをセットにしたPM(Processing Module)を複数個つなぐ方式(図1).
DS/90 7900Eでは8CPUから20CPUまでのスケーラビリティがある.
(2) 高信頼化のための独立プロセッサでシステム監視を行うSCF(System Control Facility)
  • CPU/PM監視機能
  • 本体装置での異常事象のロギング機能
  • 電源状態の履歴機能
  • 外部装置監視・制御機能
(3) OS(UXP/DS)のNUMA対応
分散共用メモリ方式では,メモリアクセスのローカリティ(自PMのメモリ域へのアクセス比率)を高くすることが性能向上とスケーラビリティの向上に寄与する.そのためUXP/DSでは次のような改良がなされた.
  • カーネルコードのPMへの均等配置
  • どのPM上でも自在に動けるように全てのカーネルモジュール,ドライバをマルチスレッド化
  • 入出力コマンドが発行されたPM上で関連した割込みやプロセス動作を起こす制御
  • PM指定も可能なプロセスバインド方式,等
(注1)RISC(Reduced Instraction Set Computer): 縮小命令セットコンピュータ.
(注2)SPARC: SPARC INTERNATIONALが定めるプロセッサ規格.
(注3)NUMA(Non-Uniform Memory Access): 多数のCPU間でメモリを効率的に共用する方式.各CPUと各メモリユニット間の均一性を崩すことで総合的なアクセス性能を引き出す.並列プロセッサ並みのCPUを搭載できるがアプリケーションプログラムからはSMP(注5)に見える点が優れた特長になっている.
(注4)System V Release4(SVR4)に準拠した富士通製のUNIXオペレーティングシステム(OS)
SVR4は,UNIX System Laboratories Inc.が定めるUNIX標準仕様. 米国AT&Tが開発したUNIX「System V」が基になっている.
(注5)SMP(Symmetric Multi-Processor):対称型マルチプロセッサ.メモリが複数プロセッサに共用され,各プロセッサが対等な動作を行う多重プロセッサの形態.

DS/90 7800E,7900Eの分散共用メモリの構成

DS/90 7800E,7900Eの分散共用メモリの構成


FUJITSU DS/90 7800E,7900E 諸元
モデル名 7800E 7900E
発表時期 1995年5月
CPU SuperSPARC(60MHz)
CPU数 2〜12 8〜20
主記憶 64MB〜3GB 512MB〜5GB
ディスク容量 2GB〜3.0TB 4GBMB〜3.0TB
性能 SPECrate_int92 〜23,456 〜38,335
OS UXP/DS
その他
  • NUMA方式(注3)を採用したSMP(注5)

以上の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.


  
FUJITSU DS/90 7900E