HC-20は世界初のハンドヘルドコンピュータで信州精器と諏訪精工舎により1981年秋に開発発表があり,1982年7月に販売された.20桁×4行のモノクロ液晶ディスプレイ,マイクロプリンタを内蔵しながらも,A4サイズ,約1.6kgの軽量・コンパクトを実現していた.ビジネスユース向けのBASICを搭載し,周辺機器への接続も考慮してパーソナルコンピュータとしても高度な水準を実現している.カプラと接続することにより,ホストコンピュータとの通信が可能で,コンピュータ&コミュニケーション時代にも対応できるものとした.主な特徴は下記の通りである.
- (1)A4版サイズ,重量1.6kgで携帯性にすぐれ,NiCd電池内蔵により長時間使用可能.
- (2)CMOSのCPU2個によるデュアルCPU方式により,I/Oの分散処理を実現.RAM:16キロバイト,ROM:32キロバイトを標準装備.
- (3)OMは40キロバイトまで本体内増設可能,拡張ユニットによりROMは56キロバイトまで,RAMは32キロバイトまで増設可能.本体にマイクロカセットまたはROMカートリッジをプラグイン接続可能.
- (4)液晶ディスプレイおよびマイクロプリンタを内蔵し,キーボード,ROMカートリッジ(オプション)またはマイクロカセットドライブ(オプション)も一体化したオールインワン設計.
- (5)マイクロソフト社BASICにHC-20特有機能を活かしコマンドを強化した約32キロバイトのBASICを搭載.5本のBASICプログラムを収容し実行が可能.リアルタイムクロックLSI標準搭載.
- (6)RS-232Cと高速シリアルの2ポートを標準装備.パーソナルカプラCP-20接続により,公衆回線によるデータ通信可能.