オフィスにおけるLANの普及に伴い,新しい分散処理の動向であるクライアント/サーバシステムを実現するための計算機シリーズとして,1991年4月に三菱電機から三菱クライアント/サーバコンピュータ apricotシリーズが発表された.このシリーズには,サーバであるFTサーバと,クライアントであるQi(キー)ワークステーションとLANターミナルが含まれていた.ここでは,FTサーバについて解説する.
FTサーバでは,PCの最先端技術を採用し,サーバとして重要な,高性能,大容量及び拡張性と共に,セキュリティと高信頼性を実現している.
- インテル社の高性能32ビットCPU i486(25MHz)を搭載しており,さらに外部キャシュメモリ128キロバイトも標準装備.主メモリは標準で4メガバイト,最大16メガバイトまで拡張可能
- 高性能32ビットバスアーキテクチャMCA(Micro Channel Architecture)を採用し,拡張スロットは7スロット(32ビット×4,16ビット×3)を用意
- 最上位機(M3507-A110)では,最大5.2ギガバイトまでのハードディスクを本体内で拡張可能.さらに高速ディスクキャシュを240KB装備し,一層のスピードアップを実現.
- 赤外線セキュリティ・カードを使用した各種アクセス制限など,総合セキュリティ・システムを装備.
- 停電時には最大30分間の業務の継続を可能とする無停電電源装置を標準装備し,さらにディスク・コントローラも二重化した信頼性の高いディスク運用など,高度な信頼性を実現.
- 大容量1.2GBのストリーミング・テープを内蔵でき(オプション),大容量ハードディスクのバックアップが容易.
- 標準のネットワークOSとして高い評価を得ているNetWareやLANマネージャを採用.
機種名(モデル名) | Apricot FTサーバ FT486-25S | ||||
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型番(タイプ名) | M3507-A103 | M3507-A106 | M3507-A110 | ||
CPU | 32bit i486マイクロプロセッサ(25MHz) | ||||
メモリ | キャッシュメモリ | 128KB(外部キャッシュ)標準装備,8KB(CPU内臓) | |||
ROM | 128KB(システムROM) | ||||
RAM | 4MB(最大16MB) | ||||
ビデオRAM | 512KB | ||||
補助記憶装置 | FDD | 3.5インチ(1.44MB )×1 | |||
HDD | 容量 | 347MB (最大4535MB) |
647MB (最大4835MB) |
1047MB (最大5235MB) |
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アクセスタイム | 14.5ms | 16.5ms | 15.0ms | ||
ディスクキャッシュ | 45KB | 45KB | 240KB | ||
コントローラ数 | 最大2枚(SCSIインタフェース) | ||||
内蔵ストリーミング・テープ装置 | 1.2GB,320/525MB,150MB(いずれもオプション) | ||||
インタフェース | RS-232C | 1チャンネル標準装備(Dサブ25ピン,ASYNC) | |||
プリンタ | 1チャンネル標準装備(セントロニクス,Dサブ25ピン) | ||||
マウス | 1チャンネル標準装備 | ||||
LAN | イーサーネット,または,トークンリング(いずれもオプション) | ||||
拡張スロット | 7スロット(32bit×4,16bit×2,16bit+VIDEO×1) バス方式:MCA(Micro Channel Architecture) |
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無停電電源装置 | 標準装備(内蔵バッテリ:最大30分間) | ||||
セキュリティシステム | 標準装備(登録ユーザ数:最大100人/台) | ||||
システムパネル | 電源ランプ,ディスク動作ランプ×2,制御パネル | ||||
スピーカ | あり | ||||
カレンダー機能 | 年月日時分秒(電池によるバックアップ) | ||||
規格 | VCCI第1種 | ||||
その他 | 電源 | AC100V±10%,周波数50/60Hz | |||
消費電力 | 990VA | ||||
発熱量 | 800J/秒(688kcal/時) | ||||
環境条件 | 温度:5〜35℃,湿度:20〜80%RH(結露しないこと) | ||||
外形寸法(mm) | 410(幅)×625(奥行)×625(高さ) | ||||
重量 | 65kg |