【富士通】 FUJITSU FMR-340SV

富士通のPCサーバ.PCの普及に伴ってニーズが高まってきたパソコンLAN(注1)の中核としての利用を目的としたサーバ専用機として,1992年7月に富士通から発表された.サーバと求められるマルチベンダ環境や多様な利用形態への対応を確保するために,それまでの富士通の「FM Rシリーズ」とは異なるEISAバス(注2)対応のPC/AT互換アーキテチャ(注3)が採用された.FUJITSU FMR-340SVは以下の特徴を持つ.

(1) 業界標準
基本アーキテクチャとしてEISAバス対応のPC/AT互換を採用.それにより,関連ハードウェアの品揃えを容易にするとともに,サーバ上で動作するネットワークOS(マイクロソフトの日本語OS/2 LANマネージャ,ノベルのNetWare)の機能拡張への対応性を高めた.
(2) 高性能化
複数クライアントPCからの要求に対応できる性能を確保するために,CPU,内部バス,I/Oの高性能化を図った.具体的には次のとおり.
  • 高速CPU: Intel i486SX(20MHz),Intel i486DX 33MHz)
  • 高速バス: 32ビットEISAバス
  • 高速I/Oカード: EISAバスに合わせた,LANカード,SCSIカード(注4),富士通のメインフレームやオフィスコンピュータと通信するための通信カードが開発された.
(3) 拡張性
利用の急激な拡大が想定されるパソコンLAN環境への適応性を高めるため,メインボード,CPUボード,メモリボードなどの各プリント板を機能別に独立させたモジュラ構成を採るなど,フィールドアップグレード対応を可能にした.
(4) 信頼性
高い信頼性が求められるパソコンLANのサーバとして,ディスクミラーリング機能,無停止電源装置の提供,盗難防止のためのセキュリティキーによる筺体ロック機能が用意されている.
(注1)パソコンLAN: LANを介して複数のPCを接続し,ディスクやプリンタなどの周辺機器を共有し,データ機能の効率的な共有を図ったり,業務の連携によるグループの生産性向上を目指したPCの利用環境.
(注2)EISA(Extended Industry Standard Architecture):プロセッサのバス規格一種. IEEEがPC/AT向けバス用に標準化したISA(Industry Standard Architecture)規格の性能を強化したもの.
(注3)PC/AT: 1984年に発売されたIBMのPCの名称.その主要な内部仕様が公開されたため,以降のPC規格の事実上の世界標準になった.
(注4)SCSI(Small Computer System Interface): 本体と磁気ディスク等の周辺機器との接続方法の規格.
FUJITSU FMR-340SV 諸元
モデル名 20 30
発表時期 1992年7月
CPU 486SX (20MHz) 486DX (33MHz)
主記憶 8MB〜64MB
内蔵ディスク(標準) 170MB 310MB,495MB
内蔵ディスク(増設) <170MB,310MB,495MB,1GBの選択>×4スロット
LANカード <10base, 5base2>あるいは<10base, 5base-T>の選択 (*1)
OS NetWare,OS/2 LANマネージャ
その他
  • 基本アーキテクチャとして,EISAバス対応PC/AT互換を採用
  • 富士通のMシリーズ/Kシリーズと通信するための通信カードをEISAバスに装着可能

(*1)10Base:伝送速度10Mbps

以上の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.
  
FUJITSU FMR-340SV