【神戸大学】PrologマシンPEK

神戸大学には瀧和男,金田悠紀夫を中心としたLispマシン,和田耕一,田村直之を中心としたPrologマシンを設計実装する研究の一時代があった.Lispマシンの開発は1970年代の後半であった.それに続いてPrologマシンPEK(Prolog Engine of Kobe University)は第五世代プロジェクトの影響もあり,1983年から設計が始まった.目的はPrologの高速実行専用計算機である.1984年5月に完成.Prologの実行のほか,Prologをマイクロプログラムにコンパイルする処理系にも使われた.完成機の実行速度は約60 K LIPS(Logical Inferences Per Second)であった.

本機の設計方針は,

  • Prologインタプリタをマイクロプログラムで書く
  • 基本的には逐次実行でもできるだけ並列実行も取り込む
  • 構造の共有を図る
  • 専用のハードウェアも付加する
などで高速化を目指した.自動バックトラック,データ読込みのパイプライン化,タグアーキテクチャ,多様なアドレスモードなどを採用した.

全体的にはPEKはMC-68000のホストプロセッサに接続され,プログラムはホストプロセッサにより内部形式に変換のうえ,共有メモリに保存される.ゴール文が入力されるとPEKに起動がかかるようになっていた.

(情報処理学会歴史特別委員会編「日本のコンピュータ史」(2010年,オーム社発行) pp.196-197より編集)


  
PEK