【東芝】 COS

COS/MT
東芝が1965年に発表したTOSBAC-5100/10用のOSで,磁気テープベースでバッチジョブ連続実行を可能とした.ジョブ入力は,紙テープ読取装置/カード読取装置であり,これらから読み込まれたジョブが,磁気テープを主体とした事務処理計算を進め,結果をプリンタに出力するという処理を対象とした.
ハードウェアの標準構成は本体,主メモリ16kバイト,磁気テープ4台,紙テープ読取装置またはカード読取装置1台,プリンタ1台である.主メモリは32kバイトまで拡張できた.
COS/MTの常駐領域は2.6kバイトで,ユーザメモリを効率的に利用するために極力常駐領域を少なくした.主なソフトウェアはプログラム開発のためのアセンブラCAPおよびソート/マージであった,なお,最小主メモリ8kバイトでOSとCAPが動作した.
COS/DS
1967年に発表されたTOSBAC-5100/20では磁気ディスクベースのOSとしてCOS/DSが搭載され,本格的なバッチジョブ連続実行が可能となった.
主メモリも64Kバイトに拡張され,COBOLを搭載することで,事務処理用コンピュータとしてほぼ完成したシステムであった.
また,磁気ディスクの特性を最大限に活用したデータベースシステムIDSが開発された.Integrated Database Store の頭文字をとってIDSと命名された.関係モデルに基づく関係データベースが実用化されるまで主流のデータベースであった.米国CODASYL委員会の仕様に基づくネットワーク型データベースであり,COBOLをホスト言語とした。IDSでは、レコード間の関係を表現することができることから、ネットワーク型データベース、あるいはネットワークデータベースと呼ばれた.レコード間にn対m(n,m>1)の関係が存在する場合,関係モデルで表現することが困難なことはよく知られているが,ネットワーク型データベースでは容易に表現することができた.

COS/DSの機能構成は以下のとおりである.

図-1 COS/DS機能構成

図-1 COS/DS機能構成

MJCS
TSOBAC-5100/10,20によるインライン処理専用のOSとして,MJCS(Multi-Job Control System)が,1968年に開発された.MJCSでは,本体に直結された最大16台までの端末(電動タイプライタ)から,リアルタイムの問合せ業務を行うことができた.
COS/30
1968年に開発されたTOSBAC-5100/30には,マルチプログラミング用OSとしてCOS/30が搭載された.システムインプット/システムアウトプット機能を有して,入出力割込みでなく入出力のビジー状態を利用して,最大4つのバッチジョブが並列実行できるマルチプログラミングを実現した.
COBOL-74の搭載やIDSの機能強化などを行い,事務処理機能の拡張を図るとともに,DN-340という本格的な通信制御装置の採用によりオンライン機能を充実させ,OSの持つSWAP-IN/OUT機能や,オーバレイ機能を活用して,最大64本のオンラインジョブが並列処理可能なシステムを稼働させた.

COS/30の機能構成は次のとおりである.