東京大学との産学共同プロジェクトとして1984年6月にトロンプロジェクトが開始された.1982年日本電子工業振興協会マイクロコンピュータソフトウェア応用専門委員会の中に,OS分科会(座長:坂村健)が発足し,我が国における新しいマイクロコンピュータ開発のビジョンを独自に提言し,1983年報告書として答申を行った.これを受け,新しいコンピュータアーキテクチャの構築を目的として答申内容を実際に実現するプロジェクトとして,1984年6月に東京大学との産学共同プロジェクトとしてトロンプロジェクトが発足した.
非常に多数のコンピュータを接続し,相互関係を持ちながら同時並行的にそれぞれの目的を遂行する協調型機能分散システム(超機能分散システム)構築を目標として,トロン仕様チップ(VLSIを用いたマイクロプロセッサのアーキテクチャ),ITRON(組み込みシステム用リアルタイムOS仕様), BTRON(パソコンやワークステーション用のOS仕様とその関連仕様),CTRON(通信制御や情報処理を目的としたOSインタフェース仕様),MTRON(以上のOSを相互に接続するための追加仕様),TRON電子機器ヒューマンインタフェース(各種の電子機器のヒューマンインタフェースの標準ガイドライン)のサブプロジェクトが設けられ,研究開発が行われた.