【日本電気】 ACOS-4/NPX

ACOS-4/NPX(New Parallel eXtended)は日本電気の中〜大型汎用機用オペレーティングシステムであり,1998年4月に発表,出荷された.
ACOS-4/NPXは,インターネットを中心としたWebコンピューティング時代の企業情報システムを支えるオペレーティングシステムとして,標準プロトコルへの対応,セキュリティ管理基盤の提供,オープンシステムとの高速なデータ連携や相互の運用連携などを行ったものである.1998年10月に発表されたPX7600SVおよびPX7800SVのパラレルACOSシリーズに搭載された.
主な機能についての特長は以下の通りである.


図1.ACOS-4/NPXの主な強化

図1.ACOS-4/NPXの主な強化


1.ネットワーク連携
分散オブジェクト技術やセキュリティなどの新しい技術に対応し,Webコンピューティング時代の中枢となる機能を搭載した.
(1)標準プロトコルCORBAへの対応
最新の分散オブジェクト技術を搭載し,プラットフォームを意識しないシステムを構築する基盤機能を提供した. グローバル・スタンダードなプロトコル(CORBAなど)に対応することにより,マルチプラットフォームとのスムーズな連携を実現した.
パラレルACOSでは,CORBAプロトコルへの対応の方法としてラッピング手法を採用した.これにより,パラレルACOS上に蓄積された,多くの既存業務をCORBAオブジェクトとしてオープンサーバから利用でき,パラレルACOS上の既存資産の有効活用を実現した.

(2)セキュリティ管理基盤
NECでは,ネットワークを飛び交うデータの信頼性・安全性を保証し,安心して利用できるネットワークシステムを構築するために,トータルなセキュリティソリューション「SecureGlobe」を提供した.ここでは,統一された製品コンセプトと製品体系に基づいて,一貫性のあるセキュリティ製品と技術を継続して提供しており,利用者の利便性を損なわずにセキュアなシステムを構築することを目的としている.
パラレルACOSでも,このコンセプトに基づき,業界標準セキュリティ機能に準拠した暗号化やユーザ認証などのセキュリティ管理基盤を提供し,以下を実現した.
  • 暗号化機能により,通信時のデータを暗号化し,情報漏洩を防止
  • 公開キー方式を利用した認証方法の採用により,不正利用者からの接続を防止

2.オープンシステムとのデータ連携/運用連携
UNIXなどのオープンサーバとの間で,高速にデータを連携する機能や,相互に運用を連携する機能を提供した.
(1)ディスク共有によるデータ連携
パラレルACOSとオープンサーバとの間でディスクを共有し,高速な光ループチャネルであるFC-AL(Fibre Channel Arbitrated Loop)を介して,高速にデータを受け渡す機能を提供した.
オープンサーバからのファイルアクセスにおいても,パラレルACOSでのアクセスと同様に,ファイルの共有排他制御,アクセス権検証,ディスクへのパス障害時の自動切換え・アクセス閉塞機能などを搭載し,高いミッションクリティカル性を実現した.

(2)相互運用連携
UNIXなどのオープンサーバとパラレルACOSが混在する複合システムにおいて,各種サーバの稼働状況を1箇所で統合的に監視し,相互の運用を連携させる機能を提供した.
統合監視,相互運用は,UNIXサーバ上の専用ブラウザとの連携で実現し,以下の機能を搭載した.
  • UNIXサーバ上の専用ブラウザで,パラレルACOSのコンソールメッセージの表示,コンソールコマンドの投入が可能な,稼働監視機能
  • 異なるプラットフォーム間でメッセージを契機とした連携を可能とする,事象連動機能
  • UNIXサーバ上の専用ブラウザから,パラレルACOSの電源のオン・オフが可能な,電源制御機能


 
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