【OKI】BOS/F,BOS/D

 BOS/F,BOS/D は,1976年に開発発表されたオフィスコンピュータ OKITACsystem9に搭載されたOSである.BOSはBusiness Oriented Systemの略であり,Dはハードディスクをベースに,Fはフロッピーディスクをベースにしている.BOS/Dが上位機種,BOS/Fが下位機種用であり,次の特長を有する

  • 高水準言語  COBOL(ANSI-74版)と簡易プログラミング言語BPLが使用可能である
  • 多重機能  BOS/Dには,多重ジョブ,多重タスク処理機能があり,オンラインとバッチの処理が並行して行える
  • ユーティリティ  分類併合,ファイル・ボリューム管理,デバッグ等,豊富なユーティリティプログラムが用意されている
  • 通信制御  BTAM(Basic Telecommunication Access Method),MTAM(Message Telecommunication Access Method)などの通信制御用アクセスメソッドが用意されアプリケーションプログラムの作成を容易にする
  • ジェネレーション  ユーザの利用目的に沿った最適なシステムジェネレーションを行い提供される
  • パッケージ  データチェック,媒体変換,報告書作成,テーブル索引,ファイル更新,ファイル保守という定型的な基本処理が基本パッケージとして提供され,少ない記述でユーザプログラムを作成することができる

 BPLは,ファイル仕様書,データ仕様書,出力仕様書,行制御仕様書,プロセス仕様書,会話仕様書という書式の定まった6種類の記述用紙を用いてプログラムを作成するという簡易性を保持するとともに,一括ジョブ,リアルジョブ,オンライン,インラインの各プログラムを容易に作成できる柔軟性を備えていた.
また,販売・在庫管理,給与計算,経理という業務パッケージも用意されており,短期間で低コストのシステム構築を可能にしていた.
 OKITACsystem9は1979年にペンタッチシリーズがリリースされた.BOS/F,BOS/Dは,ディスプレイにはパネルやCRT,キーボードにはJIS配列に加えブックに記入された項目をペンでふれるだけで入力可能なペンタッチキーボードをサポートし,周辺装置の充実を行い使いやすさの向上が図られた.
 1980年に漢字シリーズがリリースされた.BOS/F,BOS/D には,JIS第一水準2965文字,第2水準3384文字すべてが収容されており,縦横24ドットで明朝体を,鮮明にディスプレイに,また毎秒60字という高速で印刷するプリンタをサポートしていた.漢字データの入力は,キーボードの漢字ブックで入力すべき漢字を指定して入力する方式も可能にしていた.また,標準言語であるBPLのデータ定義や命令に漢字処理を組み込み,漢字を特別に意識することなく,アプリケーションの開発を行うことができた.