ワークステーションやパソコンの高性能化・低価格化や,LANの普及に伴い,PC-LANシステムやビジネスUNIXが注目を集めるようになった.いわゆるオープン化の波である.
1994年7月に発表されたソリューションサーバRX7000シリーズ用に開発されたOSがDP-UXである.DP-UXでは,DPS10のアーキテクチャを踏襲しつつ,パソコンやUNIXなどとの接続性やデファクトスタンダード対応機能の大幅な強化が行われた.
オフコン用の端末機といえば同軸ケーブルで接続する専用端末が主流であったが,パソコン上で専用端末機をエミュレートする端末エミュレータ”ap-BIND”が広く使われるようになっていった.
DP-UXで1994〜1995年に搭載された主なオープン連携機能は次の通り.
- (1)TCP/IPネットワークの標準化
- OSとしての標準ネットワークをTCP/IPとし,ftp, rsh(リモートシェル), NFS(ネットワークファイルシステム), WWWサーバ,SMTPメールサーバなどの各種機能が搭載された.
- (2)端末操作環境のオープン化
- WindowsのGUI画面ベースのジョブ操作環境や,telnetをベースとした端末エミュレータのサポートにより,Windowsパソコンやマッキントッシュがオフコン端末として接続可能となった.
- (3)データベースのオープン化
- パソコンS/WからDP-UXデータベースへのアクセスを可能にする機能として,ODBC(Open DataBase Connectivity)インタフェースの「オープンデータベースアクセス機構」と,Btrieveインタフェースの「HYPERGSAM」がサポートされた.
- (4)開発環境のオープン化
- Visual Basicを活用したクライアント・サーバ型アプリケーション開発環境「HYPERPRODUCE」,POSIX準拠のC言語開発環境,およびANSI規格準拠のCOBOL言語「COBOLII」がサポートされた.
- DP-UX B00版
- 1995年に発表されたRX7000モデルD20,E20は,オフコン下位機のCPU・メモリを1ボードに実装し(1996年に「DP-UX互換エンジン」と命名),このボードをインテルアーキテクチャのH/Wに搭載したクライアント・サーバ一体機である.モデルD20,E20用に開発されたのがDP-UX B00版である.DP-UX互換エンジンボード上にはプロセッサとメモリが搭載されており,DP-UX OSおよびアプリケーションは互換エンジン上で実行されるが,DP-UXから発行されたディスク・LAN・テープなど入出力装置へのI/Oはすべて仮想化され,Windows NT上のサービスプログラムに渡される.各I/Oサービスプログラムは,これらのDP-UXのI/OをWindows NTのI/Oとして変換し,実H/Wへの入出力処理を行う.これにより,アプリケーションが実行されるオフィスサーバと端末エミュレータが動作するクライアントパソコンの両方が1台で実行される「クライアント・サーバ一体型オフコン」として小規模システムで好評を博した.