HAYAC-5000はシャープから1974年4月に発売された.ファームウェア・コントロールによるタイム・スライシングの採用によって,最大15種類の異なったプログラムを同時に処理できるマルチタスク機能を実現しており,下記のように多くの特徴を持つ.
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- (1) 固定ヘッドディスクによる仮想記憶方式を採用.
- (2) 主記憶に1KビットPMOS ICメモリを採用し,基本4キロバイトから最大64キロバイトまで増設可能.
- (3) 通信制御や各種入出力制御をSOS(Silicon On Sapphire)ROM上のファームウェアで制御.
- (4) システムディスクは固定ディスクを使用し,基本49キロバイトから最大392キロバイトまで増設可能.
- (5) 主記憶チャネル装置を各ジョブ単位に増設し,タイム・スライシングにより最大15のマルチワーク,マルチビリングが可能.
- (6) CRT端末,タイプライタ端末,ドットシリアルプリンタ,ラインプリンタ,5メガバイトカートリッジディスク装置,カセット磁気テープ装置,磁気テープ装置,通信制御装置等11種類の周辺装置を接続可能.
- (7) 独自のインタフェースによりモデムなどを使用せずに最大500mまでツイストペア線により端末を接続でき,マルチCRTターミナルシステムの草分け的存在であった.
- (8) 言語はアセンブラとCOBOLを使用.
- (9) 幅広い業務にも容易に最適なシステム設計が可能.低価格のビリング・システム,効率的なインライン・マルチビリング・システム,小規模バッチ・システム,外部記憶装置を利用したデータ収集システム,小規模オンライン・システムとして真価を発揮.