【リコー】RICOM 8

 高速・大容量・小型の本格的データ処理システム.

 「RICOM 8」は,TDK社と共同開発したリコーのオフコン1号機で,1971年4月に発売された.TDK社が世界に先駆けて開発した2〜4キロバイトの磁気コアメモリを採用し,I/Oの部分は,1964年の発売以来データの入力作業を簡便化する装置として実績のあった「リコータイパー」を使っている.64ビットの演算装置は抜群の高性能を誇り,設置面積を少なくした高層ビル型のデザインという点でも注目を集めた.

 RICOM 8は事務処理を目的として,すべて10進法を採用.16桁の四則演算を可能にし,さらに事務処理に欠かせないデータ編集機能(エディション命令)を持たせ,伝票発行などデータの入出力の頻度が高い事務処理には最適のオフコンとして市場に受け入れられた.ソフトウェアは,本システムのベーシックプログラムであるアセンブラ,フォートラン,デバッキングプログラム,その他ユーティリティなどが用意されており,さらにリコーは,ユーザが必要とするアプリケーションプログラムの受託開発も行っていた.中央演算装置の記憶部にストアされたプログラムにより,データの入出力,処理を自動的に行う.メモリは500語を基本に,500語単位にスタック化でき最大2000語まで増設が可能.35種類の命令を持っている事務処理,科学技術計算処理が行える.回路素子はすべてICを採用し,処理速度は速く高い信頼性を持っていた.


  
RICOM 8