東芝が1974年に発売した,日本初の本格的フロッピーディスク装置(FDD)ベースのオフコン.当時すでに磁気ディスク装置がオフコンでも利用され始めていたが,その価格の高さから上位オフコンでの利用に限定され,外部記憶装置としては下位オフコンではカセット磁気テープがもっぱら利用されていた.東芝では,IBMがエッジカードを置き換えるものとして発表したディスケット装置(IBMの商標であり,後には一般的にはフロッピーディスク,あるいは単にフロッピーと呼ばれるようになった)を外部記憶装置として下位オフコンで利用できないかという検討をスタートさせたが,FDDをファイル装置として本格的に利用した例がほとんどなかったために,まず信頼性評価のための試験を行う必要があった.繰り返し評価の結果,50万回のアクセスに耐えることが確認されて採用を決定したが,当初は読み出し専用に限定しての使用とした.その後,書き込み信頼性についても十分であることが実証され,以降の下位オフコンの製品スタイルの先駆となった.なお,当時の資料によれば,フロッピーディスクという言葉は使われておらず,シートファイルと呼ばれていた.当時採用されたシートファイルの仕様は次のとおりである.
- 媒体サイズ 8インチ
- 容量/媒体 256キロバイト
- データ転送速度 250Kbps
- 回転数 360rpm
FDDがサポートされたTOSBAC-1150システムVIシートファイルシステムは,前年(1973年)に発売開始されたTOSBAC-1150シリーズを構成するモデルである.同シリーズとしては,システムI,II,III,IV,Vがすでに存在していた.システムI,IIは紙テープベースのシステムであり,システムIIIがカセット磁気テープベースのシステムであった.また,システムIV,Vは,通信制御装置,網制御装置が追加され,オンライン処理は可能であった.
論理素子 | LSI, MSI, SSI(TTL素子) | |
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記憶装置 | 素子 | MOS IC |
bit数 | 8bit+1bit(パリティ) | |
サイクルタイム | 800ns/B | |
容量 | 1KB, 2KB, 4KB, 8KB, 12KB, 16KB | |
演算制御部 | 命令語長 | 2B(16bit) |
命令数 | 65 | |
演算方式 | 十進および二進並列,固定小数点 | |
アドレス方式 | 1アドレス方式 | |
アドレス修飾 | 直接,間接インデックス(レジスタ4種) | |
制御方式 | マイクロプログラム方式 | |
割り込み | 2種 | |
制御可能入出力機器 | 最大16台 |