【富士通】 FACOM システム80

富士通のオフィスコンピュータ下位機で,ユーザック電子工業(現PFU)と共同開発された.

1979年4月にFACOM BmおよびFACOM V0IIIの後継機として,同社初の本格的オフィスコンピュータFACOM システム80が発表された.開発開始当時はOA(オフィスオートメーション)が注目され始めた頃で,FACOM システム80は,「事務機を扱う感覚で誰でも必要なときに簡単に使えるオフィスシステム」を設計理念として開発され,1980年代におけるオフィス情報システムの第一ステップとして発表された.本機は,以下の特長を有した.

(1)業界初の大規模(1万ゲート)CMOS LSIプロセッサFSSP(*)の採用(同時に発表された小型コンピュータFACOM V-830と共通) *:Fujitsu Small System Processor
(2)日本語システムを標準装備
(3)高密度メモリ素子の採用によりメモリ容量を大幅拡大
(FACOM Bm 最大48KB/FACOM V0III 最大64KB→FACOMシステム80最大384KB)

これによりマルチワーク処理・日本語処理を実現する本格的OSが搭載可能となった.

その後,日本で初めて8インチマイクロディスク(新構想に基づき開発された8インチ円板使用の小形高性能ディスク装置)を内蔵した「FACOM システム80モデル5」を発表,同時に従来の「FACOM システム80」を大幅に機能強化し「FACOM システム80モデル7」として発表した.その後も,卓上型で初めて20MBのマイクロディスクを装備した「FACOM システム80 モデル3」,大容量マイクロディスクなど新技術を取り入れた「FACOM システム80 モデル4,6,8」, オフィスコンピュータで初めて5インチミニフロッピィディスクを装備した卓上型「FACOM システム80 モデル1」などが追加され,FACOMシステム80シリーズを形成した.

FACOM システム80シリーズ主要諸元
機種名 FACOM
システム80
FACOM
システム80
モデル7
FACOM
システム80
モデル5
FACOM
システム80
モデル4,6,8
(下記ではM4, M6, M8と略す)
FACOM
システム80
モデル1,3
(下記ではM1, M3と略す)
発表時期 1979年4月 1980年?月 1982年5月 M1:1982年12月
M3:1981年10月
CPU 16ビットCMOS LSIプロセッサFSSP
メモリアドレス空間 最大16MB,仮想アドレス方式,マイクロプログラム制御
16ビットMPU
i8086(8MHz)
システム記憶機構 記憶素子 16K/64Kビット
MOS-LSI
64Kビット
MOS-LSI
記憶容量 192〜384KB 192〜512KB
(256〜512KB)
標準タイプ
192〜320KB
日本語タイプ
256/320MB
M4:256〜
512KB
M6:384KB〜1MB
M8:384KB〜1.5MB
M1:96/128KB
M3:96/128KB
(M1/3はユーザ領域)
エラーチェック ECC(1ビットエラー訂正,2ビットエラー検出) パリティチェック
内蔵磁気ディスク 14インチ
20.2/40.4/105.9MB×1
8インチ 10/20MB×1 8インチ
M4:20/40MB
×1
M6:20/40MB
×最大2
M8:67MB
×最大4
当初ディスクなし(後に5インチ 7.5MB内蔵型が追加)
内蔵フロッピィディスク装置 8インチ×1〜2台
243KB(1S)
1.2MB(2D)
8インチ1台標準
243KB(1S)
1.2MB(2D)
8インチ(1MB)
M4:1台
M6:1台
M8:最大2台
M1:2〜3台
(5インチ)
M3:2台
(8インチ)
ワークステーション接続台数(ディスプレイ+プリンタ) 8台 (コンソールのみ) M4:(コンソールのみ)
M6:6台
M8:16台
(コンソールのみ)
装置のタイプ 自立型 M4:卓上型
M6/M8:自立型
卓上型

(注)上記の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.


FACOMシステム80初期モデルFACOMシステム80モデル6FACOMシステム80モデル3
  
FACOMシステム80モデル3 卓上型