カシオのΣシリーズは,着実な進化を遂げ,本格的なOSの装備,高級言語によるアプリケーションのプログラミング環境,マルチプロセス,通信機能,CRT装備など本格的なオフコンの形ができあがってきた.それらの集大成とも言えるのが1979年に発表した「漢字オフコン」Σ-8700である.
漢字処理は当時のCPUやメモリには負担が大きいものであったが,高い処理性能を画期的な低価格で実現した.
当時はメモリが高価だったため,漢字の表示・印刷のために使用するメモリをいかに節約するかが大きな課題であった.漢字のフォントパターンは外部記憶に持っており,表示や印刷の都度,パターンをメモリに展開するわけであるが,使用頻度に応じてパターンの入れ替えを制御するキャッシュ機能を搭載.また,CRTは横方向,ドットプリンタは縦方向にフォントパターンを走査せねばならなかったため,表示と印字で共用できるように,縦・横2方向にスキャンできる特殊なメモリ装置を開発.漢字処理関連で数多くの特許を出願した.