【日立】 HITAC T-550/30およびT-550/40・50・60・80 OCRシステム

HITAC T-550/30 OCRシステムは,情報処理の最大ネックとなっていたデータ入力の省力化に対処するため,誰でも容易にクリーンデータが作れる本格的な分散型OCRとして開発した.データの信頼性を高める豊富なデータチェック機能と修正機能を持ち,安価で手書き片仮名まで読み取れる高い認識機能を持っている.さらに,帳票フォーマットの制限緩和と広範囲なアプリケーションに適応することができるようになり,他の端末装置(HITAC L-320ターミナルコンピュータ,H-1740データエントリシステム)と組み合わせて,効率の良い分散処理システムを構成することができる.また,フロッピーディスク出力のオフライン利用と,ホストコンピュータとのネットワーク接続を行うオンライン利用を可能にしている.

HITAC T-550/30 OCRシステムの諸元
読み取り文字 OCR-Bフォント(英数字)
手書き文字:数字,英字,片仮名,記号
取り扱う帳票 長さ95~305mm,幅60~265mm,厚さ0.1~0.17mm(70~123kg紙),複写帳票
処理速度 最大約50枚/分(帳票長さ90mm,手書き10文字の場合)
紙送り制御 即時修正モード,連続読み取り・バッチ修正モード
発売開始時期 1977年8月

また,T-550/30後継として,1981年8月には,T-550/40・50を発表.1982年4月には,その上位機種となるT-550/60,1983年6月には,T-550/80を発表した.T-550/40では,最大約50枚/分(A5・手書き100字:約20枚/分),T-550/50で約100枚/分(A5・手書き100字:約33枚/分),T-550/60で,最大約100枚/分(A5・手書き100字:約48枚/分),T-550/80で,最大約240枚/分(A5・手書き100字:約90枚/分)とし,データ量に応じた製品選択が可能なように製品のラインナップを強化した.さらに,文字を図形として捉える新しい文字認識手法※「図形検証法」を採用した.読み取り後の検定強化などにより,読み取り精度の向上を図っている.取り扱う帳票仕様もレファレンスマークやベリファイマークといった黒色マークをなくし,帳票設計時に使用するドロップアウトカラーのみの一色刷りを可能とした.サイズもA8~A3を可能にするなど,大幅に緩和し,小さな書籍スリップや大きなコーディングシート読み取りも可能とした.ドロップアウトカラーとして,従来の赤系統に加えて,青系統を使用した場合でも一般ボールペン(黒)使用を可能にする高輝度ランプを開発し,T-550/60・80で搭載可能とした.

※図形検証法は,それぞれの文字の特徴を捉えて,この特徴とシステムに記憶する図形との整合性をチェックして認識を行う.尚,従来の非線形マッチング方式では,文字を線分化し,これをさらにコード化することによって認識を行っていた.


  
HITAC T-550/30 OCRシステム
(ネットワーク利用を実現した分散型OCRシステム)
  

OCRの解説文では,一般社団法人電子情報技術産業協会発行の「OCRカタログ用語集(第2版)」の用語を使用しています.各用語の意味については,本用語集をご参照ください.