【三菱電機】 MELCOM 9100システム グループ30 

オンライン・リアルタイム・システムとして,計算機制御,データ通信制御,科学技術計算などのほか,小規模なタイムシェアリングシステムにも利用できる中規模の計算機で,1967年に完成した.

アキュムレータ,インデックス・レジスタ,ベース・レジスタの用途に使える汎用レジスタは,3個を1セットとして,4セット用意されており,使用するセットをプログラム・ステータス・ワードで指定することにより,プログラムの迅速な切り替えを可能にした.

命令のオペランドのアドレスは論理アドレスであり,物理アドレスへの変換は,図に示すように,セグメンテーションとダイナミック・リロケーションの2次元アドレス変換方式を採用していた.セグメンテーションは,利用者間で主記憶上のプログラムやデータを共有するために用意され,ダイナミック・リロケーションは,プログラムを主記憶のどこへロードしても実行できるようにするために用意された.16ビットの論理アドレスの最上位のビットがセグメントを指定し,セグメントに対応したマッピング・レジスタの値を論理アドレスに加算して物理アドレスを求めるという方式が採用された.ページ・サイズは512語であり,主記憶の保護のために,ページごとに2ビットのメモリ・ロックを持っていた.


図 アドレス変換の過程

図 アドレス変換の過程

I/Oプロセッサには,セレクタ・チャネル,マルチプレクサ・チャンネル,ダイレクト・コントロール・チャネルがあり,それぞれI/Oコントローラを経由して入出力機器と接続された.セレクタ・チャネルは,最大転送速度440キロバイト/秒で,最大4チャネル接続でき,磁気ディスクや磁気ドラム,磁気テープ,高速ラインプリンタなどとの入出力を行った.マルチプレクサ・チャンネルは,最大64サブチャネルを持ち,最大転送速度は40キロバイト/秒で,紙テープリーダやタイプライタなどの低速入出力機器との入出力を行った.ダイレクト・コントロール・チャネルは,プロセス入出力などで用いられた.これらのうち,マルチプレクサ・チャンネルは,CPUのレジスタや加算器を共用しており,データ転送動作はCPUの命令処理の間に割り込まれて行われた.

MELCOM9100シリーズの主な仕様は次のとおり.

主記憶 素子 磁気コア
容量 4K語〜64K語
メモリ・モジュール 4K語,8K語,16K語(最大4メモリ・モジュール)
語長 16bit+パリティ1bit
サイクルタイム 0.8μs
CPU データ形式 二進固定小数点(語,倍語)
可変長十進数(1〜16byte)
浮動小数点(短精度:32bit,倍精度:64bit)
論理数(byte,語,倍語)
可変長文字(1〜256byte)
命令語長 1語,2語,3語,4語
命令種類 基本64種
アドレッシング 即値,直接,間接,ベース,相対,インデックス
演算の種類 レジスタ間,レジスタ・メモリ間,メモリ間
演算速度 加算(レジスタ間) 1.4μs
加算(レジスタ・メモリ間) 2.5μs
乗算 8.4μs
除算 11.2μs

  
MELCOM 9100システム グループ30