1986年2月,日本電気は,当時世界最大・最高速の超大型汎用コンピュータACOSシステム2000シリーズを発表した.同シリーズは,ゲート当たり遅延時間100ピコ秒の1,000ゲート超高速論理LSI(CML),ゲート当たり遅延時間170ピコ秒の4,000ゲート超高速・高集積度論理LSI(CML),アクセスタイム3ナノ秒の16キロビット超高速バイポーラRAM,1メガビットDRAMなどのLSI技術,10センチメートル角の多層セラミック基板上に最大42個のLSIを搭載できる実装技術,さらに従来の空冷ではなく液体で冷却する直接液体冷却方式の採用に加えて,パイプライン方式,統合アレイプロセッサ方式などの採用で世界最大,最高速を実現した.
また,RAS専用の独立したプロセッサの採用をはじめ,I/Oコマンドからファームウェア命令までの幅広い自動再試行機能,プロセッサリリーフ機能,動的再構成機能などにより高い稼働性を実現している.また,疎結合多重プロセッサシステムでは,異常時に待機システムに自動的にしかも瞬時に切り替えられるホットスタンバイ機能や複数のプロセッサがオンライン処理を同時に行う負荷分散疎結合多重プロセッサシステムでも正常なシステムで処理するフォールトトレラント機能を持っているため高信頼性システムの構築を可能にしている.
さらに,人工知能(エキスパートシステム)を応用し,専門的な知識を持たない人にもコンピュータの運用・利用を容易にしている.
2010 | 2020 | 2030 | 2040 | ||
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発表時期 | 1986年2月 | ||||
OS | ACOS-6 | ||||
演算処理装置台数 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
主記憶容量 | 最大256MB | 最大256/512MB | 最大512MB | ||
キャッシュ メモリ |
EPUキャッシュ | 128KB | 256KB | 384KB | 512KB |
システムキャッシュ | 512KB | 512KB/1,024KB | 1,024KB | ||
チャンネル本数 | 最大96本 | 最大192本 | |||
総合データ転送能力 | 最大192MB/s | 最大384MB/s | |||
CPU素子 | バイポーラCML(水冷) | ||||
メモリ素子 | 1MビットDRAM |
S900 | S1000 | S2000 | S3900 | |
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発表時期 | 1976年4月 | 1980年9月 | 1986年2月 | 1991年3月 |
出荷時期 | 1978年10月 | 1981年11月 | 1987年6月 | 1992年2月 |
論理素子 | バイポーラCML | バイポーラCML | バイポーラCML | バイポーラCML |
ゲート遅延時間 | 0.7ns/ゲート | 0.5ns/ゲート | 100ps/ゲート | 70ps/ゲート |
集積度 | 最大200ゲート | 最大200ゲート | 最大1,000ゲート | 最大20,000ゲート |
メモリ素子 | 16Kbit MOS DRAM | 64Kbit MOS DRAM | 1Mbit MOS DRAM | 1Mbit CMOS SRAM |
アクセスタイム | 500ns | 150ns | 120ns | 35ns |
LSIパッケージ | 8cm×8cm | 8cm×8cm | 10cm×10cm | 22.5cm×22.5cm |
搭載論理素子数 | 最大110個 | 最大60個 | 最大42個 | 最大100個 |
LSIパッケージ /ボード |
12パッケージ/ボード | 4パッケージ/カード 最大37カード/ボード |
12パッケージ/ボード | 2パッケージ/ボード |
冷却方式 | 空冷 | 空冷 | 水冷 | 水冷 |