【富士通】 FACOM M-700シリーズ

富士通の汎用機FACOM M-300シリーズの後継機.FACOM M-700シリーズの最初の機種として,超大型機FACOM M-780モデルグループが,1985年11月に6機種が発表された.本機は,世界初の1ボードCPUを実現した.後に,大型機FACOM M-760モデルグループおよび中型機FACOM M-730モデルグループが追加され,19機種からなるFACOM M-700シリーズのラインアップが完成した(1987年).本シリーズは,以下の特徴を持つ.

(1) 幅広い処理能力を実現
 
  • 3つのモデルグループ・19機種でシリーズ内処理能力比210倍
    (1987年のM-700シリーズラインアップ完成時点.FACOM M-300シリーズは4モデルグループで約100倍)
  • 最大主記憶容量の拡大(FACOM M-300シリーズ比最大4倍)
(2) 最新LSIと高密度実装技術の採用により全機種で1ボードCPUを実現し,優れた価格性能比を提供
 
  • FACOM M-780およびM-760モデルグループでは,3,000または10,000ゲートの高速・高集積
    ECL LSIを,FACOM M-730モデルグループでは,20,000ゲートの高集積CMOS LSIを採用
  • FACOM M-780およびM-760モデルグループ用に高密度実装を可能とするプリント板SSC
    (Sub System Carrier)を新規開発
     M-780モデルグループ用SSC 49cm×54cm,42層,両面に最大336個のLSIを搭載
     M-760モデルグループ用SSC 49cm×54cm,24層,片面に最大143個のLSIを搭載
(3) 省スペース・省電力を実現
(4) 容易なモデルグループ内フィールドアップグレードを実現
FACOM M-700シリーズ諸元
  FACOM M-730
モデルグループ
FACOM M-760
モデルグループ
FACOM M-780
モデルグループ
発表時期 1987年3月 1985年11月
位置付け 中型機 大型機 超大型機
CPU 最大数 4 4 4
主要素子 2万ゲート/チップ
CMOS LSI
遅延時間 1ns/ゲート
  • 3,000/10,000ゲート/チップECL LSI
    遅延時間180ps/ゲート(10,000ゲートはM-780のみ)
  • 16Kbit+1,200ゲート・アクセスタイム3.2ns高速RAM &論理LSI(バッファストレジなどに使用)
バッファストレジ容量 16/24/32KB/CPU 32KB/CPU 128KB/CPU
主記憶 記憶素子 1Mbit DRAM 256Kbit・スタティックRAM
最大記憶容量 45MB 256MB 256MB
最大搭載
チャネル数
12 64 64
備考 改良機として以下のものがある
  • FACOM M-730 Aモデル(1988年10月発表)
  • FACOM M-740モデルグループ(1990年12月発表)
改良機としてFACOM M-770モデルグループ(1990年6月発表)がある 富士通初の伝導液冷を採用

(注) 上記の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.


FACOM M-780/40FACOM M-780 LSIチップ当り3,000/10,000ゲートの回路を有するECL LSIFACOM M-780 CPU中央が1ボードCPUで,54×49cmのプリント板(SSC:Sub System Carrierと呼称)に,両面に最大336個のLSIを搭載可能.両サイドは,伝導冷却用モジュール(富士通沼津工場池田記念室に展示).
FACOM M-780 MSU中央部に空冷フィン付フラットパケージ形LSIを搭載したSSCに256Kビット・スタティックRAMを搭載したアレイカードを3次元実装した主記憶装置.FACOM M-760FACOM M-730