1980年9月,日本電気は,当時世界最高速の大型汎用機ACOSシステム1000(以下S1000と表示)を発表した.S1000は,ACOSシリーズのそれまでの最上位機種であったACOS システム900に比して,バッチ,オンラインデータベース,タイムシェアリングシステムなどの各種環境で4〜5倍,科学技術計算プログラムでは4〜20倍の処理能力を有する.演算処理装置は128キロバイトのキャッシュメモリや高度のパイプライン制御,統合アレイプロセッサを採用している.セグメンテーションとページングによる仮想記憶方式を採用し,セグメントの最大サイズを1ギガバイトまで拡張,ユーザ当たりの仮想記憶空間は16ギガバイトである.また,ディスクキャッシュを設けて性能の向上を図っている.これらにより,S1000は,発表当時単一CPUで15MIPS(Million Instructions Per Second)の世界最高速のコンピュータであった.
また,S1000は日本電気がハネウェル社にOEM供給した最初のコンピュータである.
モデル1 | モデル2 | |
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発表時期 | 1980年9月 | |
OS | ACOS-6 | |
演算処理装置(EPU)台数 | 1 | 2 |
キャッシュメモリ | 128KB | 256KB |
マルチプロセッサ | 最大2EPU | 最大4EPU |
主記憶容量 | 最大64MB | |
チャネル本数 | 最大68本 | |
EPU素子 | バイポーラCML | |
メモリ素子 | 64Kbit DRAM |