【日本電気】 ACOS システム250,350,450,550

1979年1月にIBM社が4300シリーズを発表した1週間後の2月に,日本電気はIBM4331の対抗機種として,ACOSシステム250(以下S250と表示)を発売した.さらに同年10月,当時世界最高の価格性能比を誇るシステム350,450,550(以下それぞれS350,S450,S550と表示)を発売した.

(1)S250
小型汎用コンピュータであり,中央処理装置は主記憶と5つの分散プロセッサ(演算プロセッサ,システム制御プロセッサ,サービスプロセッサ,磁気ディスクプロセッサ,通信制御プロセッサ)から構成されている.ロジック用LSIとして3,300ゲートのNチャネルMOS LSIを,メモリには64K MOS RAMを採用することにより,小型軽量化を図り,設置面積が小さく,商用電源を使用することができた.またRAS機能を充実すると同時に自動運転も可能となった.主記憶容量は最大2メガバイト,サイクルタイムは580ns/4バイトである.
S250はLSIの全面採用により,IBM機に比べて価格性能比が大幅に上回っていたので,合計2,146台売れたベストセラー機となった.
(2)S350,S450
中型汎用コンピュータであり,従来のS300,S400と完全な互換性を有し,隋所にマイクロプロセッサを採用している.S450については,マルチプロセッサ機能,ページング機能が追加され,入出力DAT機構も有し,S550との互換性が考慮されている.また,ロジック用LSIとして1,200ゲートCML LSI,ワークステーション制御,CRT制御など周辺制御用に最大6,000ゲートのNチャネルMOSを採用など高性能LSIの採用により,小型軽量化,高信頼性を実現している.
(3)S550
ACOSシリーズの上位モデルとして開発された大型汎用コンピュータである.大型システムにおける処理の多重度増大に対応すべく,プロセスの概念をマルチプロセッサ用に拡張し,ディスパッチング制御,タイムスライス制御,入出力制御のファームウェア化を図っている.また,セグメンテーション,ページングの概念を入出力処理に採用し,オーバヘッドを削減している.任意のCPUからシステム内の任意の主記憶装置,入出力装置に同時にアクセスできるボトルネックのない完全対称のシステム構成としている.
また,同機はS350,S450と同じLSI技術を使い高性能,高信頼性を実現している.
ACOSシステム250〜550の諸元
  S250 S350 S450 S550
発表時期 1979年2月 1979年10月
OS ACOS-2 ACOS-4
マルチプロセッサ構成 - -
主記憶容量 最大2MB 最大4MB 最大6MB 最大8MB
チャネル本数 最大12本 最大6本 最大16本 最大18本
総合データ転送速度 最大4MB/s 最大6.5MB/s 最大11MB/s 最大16MB/s
CPU素子 nMOS バイポーラ(空冷)
メモリ素子 64Kbit MOS RAM

 
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