KT-Pilotをベースにして,1963年末に完成し,翌年発表された科学技術計算用コンピュータで,KT-Pilotで実用性が確認された非同期マイクロプログラム方式を採用した.ただし,ソフトウェア品揃えを達成するために,KT-Pilotのようなアーキテクチャ可変は見送ったが,開発の過程でアーキテクチャ調整でソフト開発を容易にするなどのマイクロプログラム方式のメリットを活かした.一方,商用機としては,論理素子数を減らすことによる低価格化と,2〜3桁の高速化を実現.1964年に1号機が東芝小向工場に納入された.当初は科学技術計算用として販売を進めたが,ハードウェアでビジネスオプションを付加できるようにして応用分野を広げ,モデル20/30/40とラインアップの整備を行った.この後,演算制御装置に高速・高信頼の半導体集積回路を使用したモデルの開発を進め,1968年にはモデル21/31が,1969年にはモデル41が,1970年にはモデル51が開発,出荷された.モデル21/31ではメモリアドレス指定が14ビット,モデル41/51では,ベースアドレスレジスタ・リロケーションレジスタ方式を採用し18ビットに拡張された.さらに,モデル51ではスイッチ切換えによりモデル21/31用のOSとプログラムがそのまま動作するようにした.KT-Pilotで京都大学と共同開発されたFORTRANコンパイラ,ALGOLコンパイラ,アセンブラなどが搭載された.OSは,TOPS-1から始まり,TOPSシリーズとして成長を遂げた.1967年には,モデル20/30に磁気ディスク装置が接続され,ディスクベースのOSとしてTOPS-11が開発された.