日本電気は1979年10月,データカートリッジ数最大4720巻,最大容量236GBのN7651マスデータファイル装置を発表した.
これは,高速・マルチファイル・ランダムアクセスである磁気ディスクと,低速ではあるが大容量の磁気テープの特長を組み合わせ階層化した高速大容量のファイルシステムを構成するための,新しい磁気テープ媒体を用いた磁気テープ自動ライブラリ装置である.
システムとしては磁気ディスク装置と組み合わせられて高速/頻繁なアクセスが要求されるデータは磁気ディスクに置かれ,低頻度のデータはマスデータファイル装置に置かれる.
この装置においては,自動操作を行い易いように 幅約7cm,長さ約20mの磁気テープを円筒形のプラスチック製カートリッジに収納した“データカートリッジ”を使用する.データの記録は回転ヘッドによって行い1個のデータカートリッジ中には13544本の“ストライプ”があり合計で約50MBの記憶容量となる.この方式により磁気テープの弱点であるシングルファイルのみ,順編成ファイルのみという制約から解放される.
このデータカートリッジを数百〜数千個収納したライブラリ部から自動ロボット機構により読み書き装置(データ記録機構)部にホストから要求されたデータカートリッジを移動し読み書きを行う.
N7651マスデータファイル装置は,収容データカートリッジ数/データ記録機構数により4モデルが設定されている.またメインフレームシステムにおいては2台のN7651を一つのマスデータファイル装置として扱うことが出来る.
なお,これの先行機種(N7650モデル2)が,製品発表以前1978年3月に筑波大学に導入され,運用開始している.
モデル名 | モデル1 | モデル2 | モデル3 | モデル4 | |
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記憶容量(GB) | 35 | 102 | 169 | 236 | |
データカートリッジ数 | 706 | 2044 | 3382 | 4720 | |
アクセッサ(カートリッジ運搬機構)数 | 2 | ||||
データ記録機構数 | 2 | 4 | 6 | 8 | |
アクセス時間 |
選択/返還(秒) | 4以下 | |||
ロード/アンロード(秒) | 5以下 | ||||
データ転送速度(kB/秒) | 874 | ||||
寸法 |
幅(mm) | 3790 | 5310 | 6830 | 8360 |
奥行(mm)×高さ(mm) | 810×1815 | ||||
重量(kg)(カートリッジ重量含まず) | 1500 | 2350 | 3150 | 3950 |