H-8589-1ディスク駆動装置は,日立メインフレーム向け大容量磁気ディスク装置として開発された.
本装置は,位置決め駆動機構にボイスコイルモータ,ヘッド位置決め制御にサーボ制御方式を使用し,従来のオープン制御方式からクローズドループ制御方式を採用し,ヘッド位置決めの高速化,高精度化を図った.これらの方式は,多少形式を変えながらも,現在に至るまでディスク装置の基本方式となっており当時としては画期的なものであった.また面記録密度も従来機の4倍となっており,交換型ディスクパック当り100メガバイトの記憶が可能となり,各種の計算機システムの基幹ディスクとして,位置づけられた.
記録媒体は14インチ塗布形円板を使用し,記録方式としてモディファイドFM(MFM)方式を採用し,記録磁化反転間隔に対する記憶情報量の増大が図られた.またサーボ面情報を利用し,回転位置の検出が可能となった為,ディスク回転待ち時間に上位装置から一旦切り離され,サブシステムとしてのI/O性能改善が図られた.1DKU当り2スピンドルの構成でDKU4台を連結し,1台のディスク制御装置に接続され1ハウス当り800メガバイトのサブシステム容量とした.
本装置はIBM3330-1ディスク装置と媒体互換性を持ち,ディスクパックの相互付け替えが可能であった.
| 完成時期 | 1973年6月 | 
|---|---|
| 装置当り記憶容量 | 200 MB/DKU | 
| スピンドル当り記憶容量 | 100 MB | 
| BPI | 4,400BPI | 
| TPI | 190TPI | 
| 面記録密度 | 0.88 Mbit/inch² | 
| 円板サイズ/枚数 | 14inch/10枚 | 
| ヘッドタイプ/アクチュエータ当り本数 | 重荷重インダクティブ/19本+1本(サーボ) | 
| 平均アクセス時間 | 30 ms | 
| ディスク回転数 | 3,600rpm | 
| データ転送速度 | 806 KB/s | 


