【川口市太郎(逓信省)】 川口式電気集計機

1902(明治35)年に「国勢調査ニ関スル法律」が公布された.政府は調査結果の効率的な集計のためには統計機械が必要と考え,そのための機械を国内で開発することとし,内閣を通じて逓信省に照会した.これを受けて,同省電信燈臺用品製造所技師川口市太郎が研究・開発に着手し,その結果,「明治37年人口動態統計調査」の一部集計用として,1905(明治38)年に試作機が完成した.

本機は,分類機(写真右側)と計盤台(同左側)とからなり,この両機の接続によって分類集計を行う.分類機は,分類函(分類したカードを収納する長函部分)と函上部に固定された接触器からなっている.計盤台は,計盤(長短2個の指針を有する40個の計器)と計盤の下にある5個の握柄(ハンドル)から構成されている.

「亀の子型穿孔機」を用いて作成した計牌(入力用カード)を分類機上部の挿入器に挿入し,ハンドル操作することで,中にある分類針(送電針と受信針)がカードの穿孔箇所で接触すると電流が通じ,計盤台の時計型の計器の長針が1目盛り分(1枚分)進む方式となっている.指針は長針と短針からなり,長針は1回転100枚,短針は1回転10,000枚を示し,両針は,1周すると零位に戻る.調査項目ごとの穿孔されたカード枚数はこの計盤から読み取れる.

現在,この試作機は,総務省統計局統計資料館に保存され,他の集計機器とともに展示されている.


 
川口式電気集計機(左側:計盤台,右側:分類機)亀の子型穿孔機