1961年5月,日本電気は,後のオフィスコンピュータの先駆けとなる電子(パラメトロン式)会計機 NEAC-1201を完成した.同機は,以前に科学技術計算用として開発されていた大型のパラメトロン計算機NEAC-1102,1103の技術を基礎として,信頼性を大幅に向上させるために新たに開発した低電力低周波パラメトロンと小型磁気ドラムの技術を織り込んで開発した国産初の電子会計機である.プログラム記憶方式で,記憶装置として120語の記憶容量を有する磁気ドラムを備えており,演算速度は加減算40ms,乗算120ms(12桁×6桁平均),除算720ms(商6桁平均)であった.年々機能強化され,本機の発展機であるNEAC-1210は,NCR,オリベッティなどの会計機と市場で争い,国内の中小企業に広く普及し,一時代をなした.