日本のコンピュータパイオニア

安井 裕安井 裕
(やすい ひろし)
1927〜

安井裕は1927年6月7日生まれ.1944年多摩陸軍技術研究所関西出張所研究手としてロケッ ト機「秋水」の電波による誘導装置の研究試作に従事,終戦を迎える.1945年京都で友人とともに堀場無線研究所を開設.1948年大阪大学工学部精密工学教室城 憲三教授実験補助として電子計算機の研究に接する.1949年PCS時代の関西統計機研究会で,城教授らによる電子計算機の講演の場で真空管での10進1桁の動作を実験披露する.1950年 ENIAC型の真空管式電子計算機の試作研究を行い,10進2桁の加減算等を行う装置を実現.続いてEDSAC等の文献から直列2進方式の阪大真空管式電子計算機(クロック 1MHz)の研究試作に入る.これらの設計は,牧之内三郎助教授と助手安井が行い,研究室で手作りしていた.

1961年から国産商用機NEAC2203などに1パスのアセンブラ SALI,1963年に命令コードもユーザが憶えやすい名称で定義でき,記号番地による動的なデバッグシステムも備えた1パスのアセンブラMALTシステムを製作し学内センターで公開.この間ライブラリプログラムなどの製作を行うが,非数値演算に興味を持ち1966年LISPインタプリタの実現,1967年計算機自身にプログラムを作成させる試みなどがある.この頃より日本電気・電電公社・大阪大の共同研究によるTSS(阪大MACシステム)の実現に参加.共同利用大型計算センターの運用にも携わる.1968年計算機によるソフトウェアの検査の機械化,1973年東北大⇔大阪大間計算機ネットワークの実験を行い,この年より国立大学協会の共通一次入試システムとセンターの設計に参画する.1974年誤差評価の可能な多重精度演算,区間演算プログラムの開発.1977年TSSと記号処理の応用として,意思決定システムCAPSSを経済学部横山研究室等と開発.1979年世界に先駆けてLISP並列処理マシン「EVLISマシン」を提案.1982年研究室で手作りの EVLISマシンが稼働.内外の超大型汎用機最高機種のLISP実行速度と競合できる高速性を示した.1984年PrologマシンとしてEVLISマシンが稼働(Prologのマイクロプログラム化).またベクトル計算機の活用を狙って1988年Neuro-LISPを提案しSX-2N上で実験.1989年EVLISマシンとニューロエンジンの結合システムを提案試作.1990年スーパーコンピュータのためのベクトル化LISPコンパイラの研究 (SX-2Nでベクトル化率99.8%を得ている)などを応用物理学科研究室で行った.1960年近畿大学理工学部 電気工学科卒業,1969年工学博士(大阪大学).


(2003.8.29現在)