京都大学QA-1

QA-1外観

QA-1外観


製造年 1977年
製造者 京都大学工学部
所有者 国立科学博物館
史料所在地 〒305-0005 茨城県つくば市天久保4-1-1 国立科学博物館理工資料庫
公開情報 限定公開(応相談)
照会先 理工学研究部  https://www.kahaku.go.jp

 QA-1はグラフィクスの高速処理を1つの目的として,1974年から1977年にかけて京都大学の萩原宏,富田眞治,小柳滋,柴山潔らを中心に,多くの学生の協力を得て開発された.QA-1は1977年に稼働し,花のまわりを舞う蝶のリアルタイムアニメーションが表示された.QAの由来はquadruple ALU'sであり,グラフィクス幾何変換の4×4行列を高速処理するために算術論理演算装置(ALU)を4台実装した.
 QA-1では,グラフィクス専用計算機ではなく,より汎用性を持たせるために,160ビット長マイクロ命令で異なる4つのALU演算,4つのメモリアクセス,1つの順序制御を同時に指定できる方式とし,低レベル並列処理方式と名付けた.主記憶装置は256キロバイトで,当時最高速(350ns)の1キロビットDRAM,マイクロプログラム格納用制御記憶は160ビット×1キロ語で,1キロビットのTTLメモリが使用された.制御記憶は仮想(キャッシュ)化され,マイクロ命令は主記憶から必要に応じて自動的に読み出され実行される.VLIW(Very Long Instruction Word)という用語は1983年にJ. Fisherにより提案され,その後Intel Itaniumなどで商用化されたが,QA-1はVLIWコンピュータのパイオニアといえる.