FACOM VPシリーズEモデルのMCCボード

FACOM VPシリーズEモデルのMCCボード

FACOM VPシリーズEモデルのMCCボード


FACOM VP-400Eのカタログ写真

FACOM VP-400Eのカタログ写真



製造年 1987年
製造者 富士通(株)
所有者 富士通(株)
史料所在地 〒410-0396 静岡県沼津市宮本140 富士通(株) 沼津工場
公開情報 原則非公開(応相談)
照会先 総務部
Email: fj-archives-history@dl.jp.fujitsu.com

 世界で初めて1ギガFLOPSを超える性能を実現した富士通のスーパーコンピュータVPシリーズに搭載されたMCC(Multi-Chip Carrier)高密度実装ボード.
 FACOM VPシリーズは,1982年に発表されたVP-100/200から始まり,1985年春には性能を2倍に上げたVP-400が航空宇宙技術研究所(航技研,現JAXA)にて世界で初めて1ギガFLOPSを超える性能を実現した.
 VPシリーズのテクノロジーは,先に開発された1981年発表のMシリーズの大型汎用機M-380/M-382を引き継いでいる.VP-400のベクトル処理装置には,400および1,300ゲートのLSIと4キロビットのRAMモジュールを121個搭載可能なこのMCCボードを最大13枚重ねた一辺50cmの立方体のスタックが5つ使われている.
 VP-400では,VP-200のメモリバンド幅はそのままでベクトル演算器のみを2倍に増やしたが,航技研のアプリケーションである数値流体力学シミュレーションにおいて性能上の問題はなく,航技研の要求する1ギガFLOPSへの妥当なアプローチであったと言える.
 さらに,1987年に発表したEモデルでは,現在も使われている技術であるMultiply and Add命令を追加して性能を1.5倍に引き上げ1.7ギガFLOPSを達成した.
 これら今では当然の拡張と見えるアーキテクチャ上の工夫によって,当初,大型汎用機のテクノロジーとして開発されたこのMCCは,VPシリーズのテクノロジーとして息長く活用されたのである.