OASYS 100及び親指シフトキーボード試作機

初めて親指シフト方式を採用したOASYS 100

初めて親指シフト方式を採用したOASYS 100


キーボードの拡大写真

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大きい方が親指シフトキーボード試作機.手前にある小さなキーボードは文字配列研究のための装置

大きい方が親指シフトキーボード試作機.手前にある小さなキーボードは文字配列研究のための装置


製造年 1983年
製造者 富士通(株)
所有者 富士通(株)
史料所在地 〒410-0396 静岡県沼津市宮本140 富士通(株) 沼津工場
公開情報 原則非公開(応相談)
照会先 総務部
Email: fj-archives-history@dl.jp.fujitsu.com

 親指シフト方式を初めて実装した日本語ワードプロセッサOASYS 100(1980年5月発表)と,親指シフト方式開発のために試作されたキーボードである.
 OASYS 100は,日本語による思考の流れを妨げない,自然でスピーディな仮名文字入力が可能な装置として開発された.その実現には,タッチタイピング(ブラインドタッチ)可能な英文タイプライターと同じ3段約30個のキー配列で,小文字や濁音,半濁音を含めて60文字を超える全仮名文字を1回のキー操作で入力できる必要があった.
 ブレークスルーは他の指と同時打鍵が容易な親指に着眼した親指シフト方式によってもたらされた.これは,キーボードに左右一対の親指シフトキーを用意し,1個の文字キーに2〜3個の仮名文字を割り当て,親指シフトキーとの同時打鍵により文字を切り替える方式である.左右の親指シフトキーの使い分けにより,全仮名文字を1回のキー操作で入力可能にした.加えて,運指が容易な人差し指の使用率を高め,左右交互の打鍵となりやすい文字配列など,さらなる入力負担の軽減も考慮された.
 自然で負担の少ない仮名文字入力が可能な親指シフト方式は,日本語による情報処理の普及期に大きな役割を果たした.また,日本人のためのコンピュータ利用を考えた日本独自の創意ある技術としても貴重である.