NEC PC-100

PC-100の全景.縦に設置したカラー・グラフィックディスプレイはXerox社ALTOのデザインを踏襲したものである

PC-100の全景.縦に設置したカラー・グラフィックディスプレイはXerox社ALTOのデザインを踏襲したものである


ディスプレイは横向きにも設置することができた

ディスプレイは横向きにも設置することができた


国産量産機で初めてマウスが採用された

国産量産機で初めてマウスが採用された



製造年 1983年
製造者 日本電気(株)
所有者 NECパーソナルコンピュータ(株)
史料所在地 〒101-0021 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX北10階
公開情報 原則非公開(応相談)
照会先 NECパーソナルコンピュータ 広報部 Email: press@necp.co.jp

 1983年10月に日本電気(NEC)から発売されたパーソナルコンピュータである.同社は同じ時期に,後にベストセラー機となるPC-9801(2008年度情報処理技術遺産)も発売していたが,本機はそれと異なった構造を持っていた.これら競合する2機種は同時に販売されたことになる.
 PC-100は表示する全画素をメモリに置くビットマップ・ディスプレイ機構を中心に設計された.現在では一般的なアーキテクチャだが,メモリが高価だった当時においては前衛的な構成であった.また画面を操作するためのマウス型ポインティング・デバイスを備えていた.これらは米国Xerox社の試作パーソナルコンピュータALTO(1973年)を踏襲したもので,それを民生価格で量産した世界初の機種の1つであった(Apple社 LISAも同年に発売されている).PC-9801がその当時に一般的だった,ベーシック言語の動く文字表示型パソコンとして成立していたことに比べると,PC-100はグラフィック・ユーザインタフェースを設計中心に置いた現代型PCのさきがけであった.
 しかし1980年代のPC技術では,まだこのアーキテクチャを,安価に,また実用的な処理速度で実現するのは困難であった.PC-100はPC-9801の数倍の価格であり,販売を伸ばすことができず,同メーカのライバル機に敗れる形で市場から撤退した.