翻訳実験用計算機KT-1 論理パッケージ,磁気ドラム

磁気ドラム

磁気ドラム


論理パッケージ

論理パッケージ


KT-1で使用した紙テープ

KT-1で使用した紙テープ


製造年 1958〜1959年
製造者 九州大学
所有者 九州大学
史料所在地 〒819-0395 福岡県福岡市西区元岡744
九州大学大学院システム情報科学研究院
公開情報 公開中
照会先 情報知能工学部門事務室 Tel.092-802-3601

 KT-1は,我が国初の日・英・独3カ国語相互実験翻訳のために,九州大学が1950年代後半に開発した言語処理用計算機である.
 言語理論は直接構成要素法を採用し,処理方式は各国語特有の性質を表にまとめ,プログラムは各国語間のどの方向の翻訳にも共通にした特徴あるものであった.KT-1ではおもに英語,ドイツ語,日本語間の操作について,原語の構文解析により原語を一度中間言語的な構文情報に変換する方法で,設計試作が行われた.KT-1では2進法6チャネル(直列には64進法)の直並列方式をとり,単語は直列8桁を単位とした.検索命令やパターンマッチに工夫を凝らし,文字列演算に優れていた.
 論理回路にはトランジスタによるダイナミックフリップフロップ方式を採用した.記憶装置は記憶容量約10万ビット・回転数12,000回転/分の磁気ドラムを使用した.入出力には6単位符号を採用し,鑽孔紙テープによる方法を採った.
 KT-1の設計は九州大学,製作は三菱電機が行った.単能の翻訳機ではなく,一般技術計算用機能を持たせ,その利用も考慮されていた.
 現在,KT-1に使用された論理パッケージ,磁気ドラム,および入力データの鑽孔紙テープが,九州大学に保存されている.